・GX支援事業に採択、2030年稼働を目指す
古河電気工業(東京都千代田区)は10月8日、最高電圧クラスとなる500kV級の高電圧直流送電(HVDC)ケーブルの生産設備を新設することを決定したと発表した。投資総額は約1,000億円に上り、経済産業省の「GXサプライチェーン構築支援事業」に採択されたことを受けたもので、2030年中の稼働を予定している。
同社は「『つづく』をつくり、世界を明るくする。」をパーパスに掲げ、カーボンニュートラルの実現に向けたエネルギーインフラ事業の強化を進めている。今回の設備投資は、政府が目指す2050年カーボンニュートラルの実現に資する基幹インフラの構築を目的とするもので、HVDCケーブルの需要拡大に対応する狙いがある。
新設備は千葉県富津市の既存拠点を中心に整備され、HVDCケーブル製造設備および関連建屋を導入する。生産能力は代表的な500kV級ケーブル仕様で年間約200kmを見込む。
また、GXサプライチェーン構築支援事業の採択により、約307億円(上限)の補助金が交付される予定で、補助率は3分の1。補助対象期間は2025年11月から2029年12月までとなる。
古河電工は今後、アジアを中心にHVDCケーブル事業の海外展開を加速させるとともに、最新鋭の製造技術と設備を導入し、世界最高水準の品質と生産性を目指す方針を示している。
同社は、「再生可能エネルギーの導入拡大を支える電力インフラを強化し、カーボンニュートラルの実現に貢献していく」としており、今回の投資がエネルギー転換時代の電力ネットワーク強化における中核的なプロジェクトとなる見通し。