・自動化・電動化・デジタル化で次世代鉱山の実現へ
ABB:2025年10月8日
スイス・チューリッヒ発、ABBとスウェーデンの鉱業・鉱物グループLKABは10月8日、鉱業の未来を形成する戦略的技術提携に関する覚書(MoU)を締結したと発表した。両社は自動化、電動化、デジタル化の分野で共同開発を進め、次世代のエネルギー、生産管理、ロボティクスソリューションを鉱業界全体に展開していく。
今回の提携では、完全電動化・自動化・デジタル化された鉱山の実現に向けた重要課題に取り組む。具体的には、高度なエネルギーシステムの開発として、スマート配電・蓄電システム、バッテリー式電気自動車(BEV)の充電・バッテリー管理システムなどを検討する。また、換気、粉砕、浮選などバリューチェーン全体における生産最適化・管理手法の革新も進める。
さらに、自動発破装填などのロボット化技術や、深部採掘向けハイブリッドロープを使用した高効率巻上システムなど、安全性と効率性を両立する新技術の開発も視野に入れている。提携の運営には両社の代表者による運営委員会が設置される。
LKABのイェニー・グレベリ(Jenny Greberg)技術担当副社長は「鉱業史上最も重要な技術転換期を迎えている。ABBとの提携により、持続可能で安全、デジタル化された未来への変革を加速できる」と述べた。「当社の鉱業専門知識とABBの技術リーダーシップを組み合わせ、安全性、効率性、環境配慮のパフォーマンスにおける業界標準を確立したい」と期待を示した。
ABBプロセス産業部門のマイニング技術責任者ヴェドラナ・スプーディッチ(Vedrana Spudic)氏は「最新調査によれば、鉱業リーダーの77%が自動化、電動化、デジタル技術を持続可能な変革に不可欠と考えている」と指摘。「この協業により、鉱山環境で技術を成熟させ、エネルギー効率、生産性、安全性の面で即座に測定可能な価値を顧客に提供できる」と強調した。
提携の推進には、LKABのヤン・モストレム(Jan Moström)最高経営責任者(CEO)、グレベリ技術担当副社長、ABBのスプーディッチ・マイニング技術責任者、ピーター・ターヴィーシュ(Peter Terwiesch)プロセスオートメーション事業部門社長が中心的な役割を担う。
ABBは電動化と自動化分野のグローバル技術リーダーで、約14万人の従業員を擁する。同社のプロセスオートメーション事業部は約2万人の従業員を抱え、プロセス、ハイブリッド、海事産業向けに自動化・電動化・デジタル化ソリューションを提供している。
今回の提携は、パイロット段階から大規模展開への技術移転を加速し、LKABの変革を支援するだけでなく、世界的な持続可能な鉱業のベンチマークとなることが期待されている。
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