コデルコ(Codelco):2025年10月2日
・CATの動的エネルギー転送技術で排出量最大70%削減を目指す
チリ・サンティアゴ発 — 世界最大の銅生産企業であるコデルコ社は10月2日、キャタピラー(Caterpillar)社製の革新的な給電システム「Cat® Dynamic Energy Transfer(DET)」を、ラドミロ・トミック鉱山でディーゼル電気式ダンプトラック3台を使用して実証試験すると発表した。この取り組みは、同社の脱炭素化戦略の一環として推進されるもので、予備的な試算によれば、対象車両の温室効果ガス排出量を60~70%削減できる可能性があるという。
■走行中給電を実現する統合システム
Cat® DETシステムは、複数の統合コンポーネントで構成される。鉱山の電源から必要な電圧に変換するエネルギー転送モジュール、電力を伝送する電化レールシステム、そしてトラックの駆動系に電力を転送する車載接続システムだ。このシステムにより、現行のディーゼル電気式トラックはもちろん、将来のバッテリー式電動トラックも、走行中に直接給電を受けることが可能となる。
コデルコ社のイノベーション・テクノロジー担当コーポレート・マネージャーであるフェリペ・ラグノ(Felipe Lagno)氏は、「我々は未来の鉱業に向けて着実に前進している」と述べた。「環境負荷を低減し、生産性を損なうことなくトラックの使用寿命を延長できる機会を得た。技術革新に関連するすべてのプロジェクトが、チリと世界の持続可能な発展の礎となるという我々の目的に近づけてくれる」
■2026年第2四半期に実証開始
実証試験は2026年第2四半期に露天掘り鉱山で開始される予定で、約1年間の実施が見込まれている。試験にはCat® 798 ACダンプトラックが使用され、機械が稼働する坂道の一つに給電レールが設置される。
キャタピラー社のマーク・キャメロン(Marc Cameron)上級副社長は、「このパイロットプログラムは、コデルコ社、フィニング(Finning)社、キャタピラー社の広範な協力の成果であり、顧客の声を取り入れながらCat DETシステムの設計と機能性を改善し続けることができる」と強調した。「我々は現場の車両群の運用方法を変革するだけでなく、より持続可能な未来への道を切り開いている」
■ディストリビューターも設置・保守で協力
キャタピラー社の正規ディストリビューターであるフィニング社も、Cat DETシステムの設置とメンテナンスを支援することで、試験の成功に貢献する。
フィニング社のフアン・パブロ・アマール社長は、「コデルコ社と長年にわたり築いてきた戦略的提携によって実現したこの産業実証試験は、鉱業における最先端技術の統合を進める重要な機会だ。持続可能な実践を通じたイノベーション推進の節目となり、未来を見据えた環境配慮への我々のコミットメントを強化するものだ」と語った。
このプロジェクトは、鉱山機械の電動化を推進し操業の脱炭素化を目指すコデルコの工程表における新たな一歩となる。この目標達成に向けて、同社は機器メーカー(OEM)、研究機関、国内外の大学など、業界の様々な関係者と共同ソリューションを積極的に推進している。
燃料消費の削減、温室効果ガス排出量の低減、エンジン寿命の延長を同時に実現するこの技術は、鉱業における電動化の新たな可能性を示すものとして、業界内外から注目を集めている。
■コデルコについて
1971年の国有化以来、チリ国家に累計1,580億米ドル(2023年価格換算)を納付。チリ国内7つの主要鉱山部門とベンタナス製錬所を運営し、英国、米国、中国、シンガポールに商業事務所を展開している。
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