三菱重工グループのターボデン社、米国ユタ州地熱プロジェクトでORC設備を連続受注

・世界最大級の革新型地熱発電に300MW規模で貢献

三菱重工グループのターボデン社(Turboden S.p.A、本社:イタリア・ロンバルディア州)は10月2日、米国ファーボ・エナジー社(Fervo Energy)がユタ州で推進する革新的地熱プロジェクト「ケープステーション」において、有機ランキンサイクル(ORC)設備を連続受注したと発表した。フェーズI・IIを通じて合計6基、総発電容量300MWに達する見込みで、ORC技術を活用した地熱発電設備としては世界最大級の規模となる。

■革新型地熱システムにORC技術が適合

ケープステーションは、地理的制約により従来は開発困難とされていた地域での地熱資源活用を可能にする、ファーボ・エナジー社独自の掘削・地下解析技術を用いたプロジェクト。ベースロード電源としての安定供給に加え、蓄熱機能による需給調整力も備える。中低温熱源に強みを持つターボデン社のORC技術が、こうした革新型地熱システムに最適と評価された。

フェーズIでは、1基あたり40MWのORCユニット3基(計120MW)を納入。今回のフェーズIIでは、1基あたり60MWのユニット3基(計180MW)を追加受注し、総計300MWのORC設備が導入される。フェーズIは2026年に商業運転開始予定、フェーズIIは2028年までに稼働を目指す。

■北米展開を加速、現地法人も始動

本プロジェクトの遂行にあたり、ターボデン社は北米拠点「Turboden America LLC」を2024年10月に設立。現地でのエンジニアリング・サポート体制を強化し、大規模プロジェクトへの対応力を高めている。

ターボデン社CEO Paolo Bertuzzi氏は、「今回の受注は、当社ORC技術の信頼性と拡張性の証であり、ファーボ・エナジー社との協業が次世代地熱分野における新たな可能性を拓くもの」とコメント。ファーボ・エナジー社CEO Tim Latimer氏も、「地熱の可能性を最大限に引き出すフェーズIIにおいて、ターボデン社の技術は不可欠」と述べ、両社の技術的相乗効果を強調した。

■エナジートランジションの中核技術としてのORC

ORC技術は、蒸気タービンに類似した構造を持ちながら、有機媒体を用いることで低回転・低侵食を実現。地熱、廃熱、バイオマス、太陽熱など多様な熱源に対応可能で、工場出荷時にスキッド上で組み立てられるため、輸送・設置も容易。ターボデン社はこれまでに50カ国以上で460以上のORCプラントを納入しており、エナジートランジション分野における世界的リーダーとしての地位を確立している。

三菱重工グループは、同プロジェクトの技術支援に加え、ファーボ・エナジー社への出資も通じて、革新的地熱技術の社会実装を後押ししている。

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