・1億9,500万米ドル投資で製造能力3倍に、500名の新規雇用創出
モントリオール発— 日立エナジーは9月29日、カナダ・ケベック州ヴァレンヌの大型変圧器工場に1億9,500万米ドル(約289億円、148円換算)を投資し、大規模な設備拡張を実施すると発表した。これにより同工場の年間製造能力は約3倍に拡大し、約500名の新規雇用が創出される見込みだ。
本投資は、同社が2024年に発表した1億ドル超の工場増強計画をさらに強化するもので、2020年から実施している合計90億ドル超のグローバル投資計画の一環として位置づけられている。
■北米唯一の製造拠点として戦略的重要性高まる
ヴァレンヌ工場は、世界有数規模のHVDC向け変圧器製造拠点であり、カナダ規格協会のCSA N299認証を取得している北米唯一の大型変圧器製造拠点だ。原子力発電システムの拡大、地域間系統連系の増加、データセンターによる電力需要急増、再生可能エネルギー普及などによる変圧器需要の増加に対応する体制を整える。
今回のプロジェクトでは、最新鋭の組立ラインと2つの鉄心・巻線供給ラインを追加し、製造フローを大幅に改善する。同工場では日立エナジーの変圧器技術プラットフォーム「TrafoStar」が適用され、世界中の工場で設計・製造プロセス・品質管理が統一されている。
■地域経済への波及効果も期待
製品構成要素の半分以上を地元で調達していることから、今回の投資は地域経済のさらなる発展を促進することが期待される。
ケベック州経済・イノベーション・エネルギー大臣のクリスティーヌ・フレシェット氏は「日立エナジーカナダは、この規模の変圧器を製造している北米唯一の企業であり、ケベック州のエネルギー開発において戦略的な役割を果たしている」と述べ、プロジェクトへの支援を表明した。
カナダ産業大臣のメラニー・ジョリー氏も「クリーンで信頼性の高いエネルギーは、カナダをエネルギー大国として位置づける計画の中心だ」とコメントし、送配電網技術への投資が雇用創出と経済的レジリエンスを支えると強調した。
■エネルギー転換の加速に対応
日立エナジーの変圧器ビジネスユニット担当役員ブルーノ・メレス氏は「持続可能で信頼性が高く、強靭なエネルギーインフラを、今後数十年にわたり最前線で提供できることを誇りに思う」と述べた。
同社カナダのカントリーマネージングディレクター、カーラ・ヴィセンテ氏は「大型変圧器、リアクトル、HVDC技術に対する需要の急拡大に対応する能力を大幅に強化できる」とし、エネルギー転換における重要性を強調した。
世界最大の変圧器メーカーである日立エナジーは、2030年までにカーボンニュートラルな事業運営を達成するとのコミットメントを掲げ、送配電網の高度化を推進している。
<プロジェクト概要>
- 投資額:1億9,500万米ドル
- 場所:カナダ・ケベック州ヴァレンヌ
- 製造能力:年間約3倍に拡大
- 新規雇用:約500名
- 完成時期:未発表