Volvo Construction Equipment(ボルボCE):2025年7月17日
スウェーデンの建設機械大手、ボルボCEは、2025年4~6月期(第2四半期)の決算を発表し、欧米市場の不透明感を背景に減収減益となった。一方で、アジアや欧州を中心に受注が大きく伸びており、同社は主要生産拠点への投資や事業再編などを通じて、収益の安定化と中長期的な競争力強化を図っている。
■減収減益ながら、受注と納入は好調
第2四半期の売上高は229億600万スウェーデンクローナ(SEK)で、前年同期比6%の減少(前年同期:244億2,300万SEK)。ただし為替変動の影響を除く実質ベースでは2%の増加となり、機械販売が2%増加、サービス売上は横ばいだった。営業利益(調整後)は29億9,300万SEKで、前年同期の38億8,800万SEKから減少。営業利益率(同)は13.1%と、前年の15.9%からやや低下した。
一方で、受注件数は前年同期比24%増となり、特にボルボブランドの受注は26%増加。欧州とアジアが伸びをけん引した。欧州ではディーラーによる在庫補充が継続し、北米でも増加したものの依然として水準は低い。納入台数も前年同期比で11%増加した。
■戦略投資と事業再編で基盤を強化
ボルボCEは同四半期、長期的な競争力強化に向けた複数の戦略的施策を打ち出した。主力のクローラー式油圧ショベルについては、韓国・スウェーデン・北米の3地域における生産能力の増強を決定。世界的なフットプリントの拡大を図る。
さらに、中国の臨工集団(Lingong Group)関連ファンドに対して、持分70%を保有していたSDLG(山東臨工)の全株式を約80億SEKで売却することを発表。また、スウェーデン農業協同組合Lantmännenから、建機ディーラーのSwecon(スウェコン)のスウェーデン・ドイツ・バルト三国の事業と部品サプライヤーEntrack(エントラック)を約70億SEKで買収することにも合意しており、年内の完了を見込んでいる。
ボルボCE代表のメルカー・イェーンベリ氏は、「市場の不確実性が高まる中、お客様により近い存在であり続けることに注力しながら、着実な業績を維持し、将来への投資を進めている」とコメント。「Sweconの統合によって、欧州建機ビジネスの大部分を自社で統括する体制を構築し、ソリューション提案力とサービス提供能力の一層の強化を図る」と述べた。
■地域別市場動向──欧米は減速、中国とアジアが下支え
全体として建設機械市場は前年同期比で成長したものの、欧州と北米はそれぞれ10%減と2桁の落ち込みとなった。欧州では最終需要の頭打ちとディーラー在庫の消化が進んでおらず、北米ではレンタル業者の保有機械の再編や市場見通しの悪化による需要減が響いた。
一方、中国では政府の不動産市場向け支援策が小型機の需要を押し上げ、市場全体は26%増と大幅な回復を見せた。南米ではアルゼンチンやペルーの景況感改善により8%増加、また東南アジア・中東・トルコ・インドの成長を背景に中国を除くアジアも6%増となった。
コメントを投稿するにはログインしてください。