タダノは7月1日、IHIの連結子会社であるIHI運搬機械が所有する運搬システム事業の買収を完了し、新設された「株式会社IUK クレーン」の全株式を取得したことを発表した。これにより、新設会社は「株式会社タダノインフラソリューションズ」(新社長はタダノの氏家俊明社長が兼務)に社名変更され、タダノの連結子会社となる。取得価額は約153億円。
■株式取得の狙い:新たな事業領域への挑戦
タダノは、2024年に策定した中期経営計画「Reaching new heights~新たなステージへ~」に基づき、事業領域の拡大と新たな価値提供を目指している。今回の買収は、これまで強みとしてきた「移動式クレーン」に加え、「固定式クレーン(タワークレーンや港湾クレーン)」という新たな製品群を獲得することで、LE(Lifting Equipment)分野における新事業分野への挑戦と位置づけている。
■買収事業の主な製品ラインナップ
今回の買収でタダノグループに加わる主な製品は以下の通り。
・一般産業用クレーン
・建設分野用クレーン(ジブクライミングクレーン、解体用クレーンなど)
・港湾・大型オフショアクレーン(リングリフトクレーン、フローティングクレーンなど)
・風力用クレーン(洋上風力用リングリフトクレーン、陸上風力用タワークレーンなど)
・バルクハンドリングシステム(アンローダ、コンベヤなど)
これらの事業は日本国内で安定した収益を上げており、将来的なグローバル展開も期待されている。特に、タダノグループがドイツで生産する「ラチスブーム式クローラクレーン」と親和性の高い「リングリフトクレーン」は、世界中でニーズが高まる洋上風力分野での活躍が見込まれる。
■株式取得の方法と今後の展望
IHIは、連結子会社であるIHI運搬機械の運搬システム事業を新設会社に吸収分割で承継させ、タダノがその新設会社の全株式をIHIから取得する形をとった。
今回の事業取得により、タダノはクレーン事業におけるポートフォリオを強化し、顧客への総合的なソリューション提供が可能になる。既存の移動式クレーン事業とのシナジー効果も期待され、今後の成長戦略において重要な一歩となる。
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