コマツ、24年度売上は6.2%増の4兆1,044億円、25年度予想は8.8%減の3兆7,450億円

 コマツが4月28日に発表した2025年3月期(2024年度)連結業績によると、売上高は4兆1,044億円(前期比6.2%増加)となった。建設機械・車両部門では、一般建機の売上げは減少したものの、鉱山機械の売上げが増加したことに加えて、円安の影響及び各地域での販売価格の改善効果などにより、売上高は前期を上回りました。産業機械他部門では、自動車産業向け大型プレスの販売増加と半導体産業向けエキシマレーザー関連事業でのメンテナンス売上げ増加などにより、売上高は前期を上回った。
 利益については、建設機械・車両部門は販売量減少やコストの増加などの影響はあるものの、販売価格の改善効果と円安の影響により増益となった。また、リテールファイナンス部門及び産業機械他部門も増益となり、営業利益は6,571億円(前期比8.2%増加)となった。売上高営業利益率は前期を0.3ポイント上回る16.0%、税引前当期純利益は6,048億円(前期比5.1%増加)、当社株主に帰属する当期純利益は4,396億円(前期比11.7%増加)となった。

 コマツは、2025年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value - Together, to “The Next” for sustainable growth」において、①イノベーションによる成長の加速、②稼ぐ力の最大化、③レジリエントな企業体質の構築を成長戦略の3本柱として掲げ、顧客価値創造を通じた収益向上とESG課題解決の好循環による持続的成長を目指し、需要変動に左右されにくい事業構造の構築に努めてきた。

 コマツ2025年3月期通期データ

■部門別の概況

[建設機械・車両]
 建設機械・車両部門の売上高は3兆7,982億円(前期比5.1%増加)、セグメント利益は5,989億円(前期比4.3%増加)となった。2024年度において、建設現場向けソリューションのスマートコンストラクションⓇを着実に推進し、2025年3月末時点で海外を含む累計導入現場数は46,364現場に達した。また、鉱山機械では、無人ダンプトラック運行システム(AHS)の累計導入台数が、2025年3月末時点で862台に達した。日本においては、土木分野の主力機種である20トンクラス油圧ショベルをフルモデルチェンジし、スマートコンストラクションⓇと連動する3Dマシンガイダンスを標準装備した新世代油圧ショベル「PC200i-12」として、2024年12月から市場導入した。
 2025年4月にドイツで開催された「bauma2025」において、新世代油圧ショベルの欧州仕様車「PC220LCi-12」を初出展した。あわせて、大幅な燃費向上を実現した新世代ホイールローダー
「WA485-11/WA475-11」や電動ショベル5機種の出展に加え、さまざまな現場ニーズに対応する充
電・蓄電ソリューションも紹介した。
 また、2025年4月13日より開催している2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)にて「未来の水中工事」をテーマに青木あすなろ建設と共同出展している。

■地域別の概況
<日本> 日本では、販売価格の改善などの効果があったものの、レンタル向けの需要が減少し、売上高は前期比で3.1%減少した。
<米州>  北米では、住宅着工件数の減少などにより、一般建機の需要はレンタル、エネルギー向けが減少したものの、鉱山機械の販売増加や円安の影響などにより、売上高は前期比で3.4%増加した。
 中南米では、一般建機の需要は減少したものの、鉱山機械の販売増加や円安の影響、販売価格の改善効果などにより、売上高は前期比で3.5%増加した。
<欧州・CIS>  欧州では、主要市場であるドイツ、英国、フランスを中心に一般建機の需要が減少したことから、売上高は前期比で1.4%減少した。CISでは、中央アジアで鉱山機械や部品の販売が増加したものの、ウクライナ情勢に起因したサプライチェーン及び金融・経済の制約の影響から、売上高は前期比で7.7%減少した。
<中国> 中国では、不動産市況の低迷などに起因した経済活動の停滞は継続しているものの、需要の増加により、売上高は前期比14.2%増加した。
<アジア・オセアニア> アジアでは、最大市場のインドネシアにて、需要が堅調に推移し販売が増加した。また、円安の影響などにより、売上高は前期比で14.1%増加した。
 オセアニアでは、一般建機の需要は減少したものの、鉱山機械の販売増加や円安の影響などによ
り、売上高は前期比で24.2%増加した。
<中近東・アフリカ> 中近東では、主にサウジアラビアでの一般建機の需要が減少したことなどにより、売上高は前期比で2.5%減少した。
 アフリカでは、鉱山機械の販売が減少したものの、円安の影響により、売上高は前期比で0.7%増
加した。

[リテールファイナンス]
 リテールファイナンス部門では、受取金利率の上昇や円安の影響、金融債権の増加などにより、
売上高は1,232億円(前期比19.0%増加)、セグメント利益は294億円(前期比21.4%増加)となった。
[産業機械他]
 産業機械他部門では、自動車産業向けの大型プレス及び工作機械の販売増加や半導体産業向けエ
キシマレーザー関連事業でのメンテナンス売上げ増加などにより、売上高は2,236億円(前期比
14.3%増加)、セグメント利益は274億円(前期比166.5%増加)となった。

■次期の見通し
 コマツは、新たな3カ年の中期経営計画(2025-2027年度)「Driving Value with Ambition 価
値創造への挑戦」を2025年4月よりスタートした。コマツの価値観の一つである「Ambition 挑戦
する」を意識し、顧客をはじめとしたステークホルダーと共に新たな価値の創造に果敢に挑戦し、グループ全体で成長を目指す。

 今回、コマツが目指すありたい姿を「安全で生産性の高いクリーンな現場を実現するソリューションパートナー」と再定義した。それに向けた成長戦略として、①イノベーションによる価値共創、②成長性と収益性の追求、③経営基盤の革新という3本柱を掲げている。ありたい姿からのバックキャスティングとともに、脱炭素社会への移行やデジタル技術の進展などの潮流をビジネス機会として捉えていく。また、地政学リスクや世界貿易における関税政策などで不確実性が高まる外部環境へのレジリエンスを高めていく活動も強化していく。
 
 2026年3月期の連結業績は、以下のとおり減収減益となる見通し。売上高3兆7,450億円(前期比8.8%減)、営業利益4,780億円(同27.3%減)、税引前当期純利益4,420億円(同26.9%減)、株主に帰属する当期純利益3,090億円(同29.7%減)。

 建設機械・車両部門では、販売量の増加や販売価格の改善を見込むものの、円高及び米国の関税
政策の影響により、減収となる見通し。利益については、販売価格の改善とコストの低減を進めるが、円高及び米国の関税政策の影響に伴うコストの増加により減益となる見通し。リテールファイナンス部門では、円高の影響により減収減益となる見通し。産業機械他部門では、自動車向け大型プレスや半導体産業向けエキシマレーザー関連事業のメンテナンス売上げの増加が見込まれることから、増収増益となる見通し。

 業績見通しにおける為替レートは、1米ドル=135.0円、1ユーロ=150.0円、1豪ドル=84.0円を前提としている。

 ニュースリリース
 コマツの2025年3月期決算短信
 決算説明資料

 新たな中期経営計画(2025年度-2027年度)「Driving value with ambition 価値創造への挑戦」をスタート

 新たな中期経営計画について

<参考>