荏原、東北地方にドライ真空ポンプのオーバーホール工場を竣工

・高まる半導体需要に対応し、顧客の生産活動における安定稼働をサポート

 荏原製作所は2月20日、精密・電子カンパニーの主力製品であるドライ真空ポンプの新たなオーバーホール工場が竣工したと発表した。同工場の竣工により、国内のドライ真空ポンプのオーバーホール工場は5カ所体制となる。

 荏原は、自社が得意とする流体技術や回転機械技術を応用し、1980年代より半導体関連分野に参入した。半導体市場は、2030年には1兆ドル(約150兆円)の市場規模になると予測されており、半導体製造現場で欠かせないドライ真空ポンプの需要も拡大している。荏原は、アフターサービスの拡充を図るべく、2023年12月に同工場の建設に着工し、このほど建物の竣工を迎えた。今後、2025年4月より稼働する予定。

 半導体の基板となるウェーハを加工する工程では、不純物(気体分子など)を混入させないためにチャンバーと呼ばれる加工空間から真空ポンプで空気を抜き、できるだけ真空度を高める。荏原が手がける「ドライ真空ポンプ」は、接ガス部にオイルを用いない構造のため、水や油の逆流や拡散による汚染の心配がなく、クリーンな真空が得られる。竣工した工場では、顧客の工場から返ってきたドライ真空ポンプの状態を確認し、分解・洗浄・修正や部品交換・組み立て・試験等を行い、新品と同様の性能にし、再度顧客の工場へ納入する。

 同工場では、建屋屋上への太陽光パネル設置や工場内生産排水のリサイクルなど、環境負荷低減に向けた取り組みにも貢献していく。また、敷地内駐車場に従業員が利用できるEV(電気自動車)充電スタンドを3台設置したり、リフレッシュルームに和室を設置したりするなど、従業員のエンゲージメント向上も図っていく。

 荏原では、同工場の新設により、顧客の生産活動における安定稼働をサポートし、今後も多様化し加速する半導体業界のさらなる発展と、荏原の長期ビジョン「E-Vision2030」で掲げる「進化する豊かな生活づくり」に貢献していく。

<新オーバーホール工場詳細>
名称:荏原フィールドテック ※東北工場
所在地:福島県伊達市保原町字桑田1番6
施設内容:ドライ真空ポンプのオーバーホール
建築面積:約3,000㎡
敷地面積:約10,000㎡
地上1階建
稼働開始(予定) :2025年4月

 ※株式会社荏原フィールドテック:荏原製作所のグループ会社で、コンポーネント機器・半導体製造装置の販売およびアフターサービスを展開する。

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