ソディック、2024年売上は9.6%増の737億円、25年通期予想は5.1%増の774億円

 ソディックが2月13日に発表した2024年12月期計(2024年1~12月)連結業績によると、売上高736億68百万円(前年同期比9.7%増)、営業利益22億31百万円(前年同期△28億19百万円)、経常利益36億27百万円(前年同期は△12億57百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益41億15百万円(前年同期は△46億4百万円)となった。

 2024年度の同社グループを取り巻く環境は、ウクライナ、中東等の地政学的リスクが継続するが、原材料・エネルギー価格等の世界的なインフレは沈静化しつつあり、9月以降米国・欧州では金融引き締め緩和へ金融政策を転換、一方、日本では、3月にマイナス金利解除、7月に追加利上げを実施し、金融市場正常化に向かっている。日本と欧米で異なる金融政策実行過程で期中に円高局面もありつつも総じて円安基調が継続している。
 このような経済環境のもと、同社グループは、外部環境の変化に適応し、円安の環境下でも海外生産を主としながらも着実に収益を上げる企業体質に変革するため、2024年から2026年までの「中期経営計画」を策定し、 「中国依存脱却」 、 「選択と集中」 、 「生産、販売体制をグローバルで再構築」 、 「バランスシート改善」を方針として掲げ、構造改革に取り組んだ。工作機械事業においては中国の蘇州工場の生産を厦門工場へ集約 、海外工場の生産調整に伴う人員適正化を実施、産業機械事業においては高付加価値機種販売へ注力し、また全社的な経費削減や遊休資産の売却等に取り組んだ。
 地域別には、中華圏において工作機械中心に需要回復が寄与し、販売台数、売上高ともに前年同期比で大幅な増加となり、同社売上の全体を牽引した。日本は軟調であるものの北南米やアジア地域は堅調に推移した。
 業種別では、自動車産業において日米欧でEV車および全体の生産調整・投資計画の見直しが長引き、投資が停滞し、本格回復が遅れている。自動車産業の設備投資動向に関しては引き続き注視していく。
 一方、電子部品、スマートフォン、航空部品、半導体、医療機器においては大口受注も発生し、堅調さを維持している。特に生成AIの普及に伴い、データセンターへの設備投資が増加しており、光通信デバイス、超精密度光コネクタ(MTフェルール)等への需要が拡大している。同社の工作機械および産業機械は、この超精密度光コネクタ向けの精密金型や精密部品加工に強みがあり、この需要を着実に獲得する取り組みを各地域で進めている。
 「ものづくりの高度化」、「高速・高精度加工」、「高精度・超精密」のニーズに応え、これらの成長領域での事業拡大に引き続き取り組んでいる。
 食品機械事業は、製麺機と米飯製造装置を中心として国内及び中華圏、アジア地域中心に展開しているが、国内食品メーカーの更新・増設需要が継続的に発生、中華圏、アジアにおける新規需要も引き続き拡大している。

 ソディック2024年通期データ

■セグメント別の経営成績

<工作機械事業>
 売上高51,355百万円 (前年同期比10.0%増)/営業利益 3,447百万円 (前年同期比 2,648百万円増)。

 機械販売は、中華圏における需要回復が寄与し、販売台数、売上高ともに前年同期比で大幅に増加し、全体を牽引した。中華圏全体の市況は軟調だが、NEV車、データセンター向け超精密度光コネクタ(MTフェルール)、半導体、電子部品(車載、医療、家電)等の一部業界で堅調を維持しており、特にMTコネクタ向け金型製造用として同社放電加工機への需要が高い状態。
 日本は、自動車、半導体での投資停滞基調が長引く中、データセンター向け光コネクタ、電子部品、航空部品、医療で堅調に推移し、保守サービス、消耗品販売の伸長により前年同期比売上増となった。
 アジア地域は、全体的に堅調さを維持した。特に、韓国やシンガポールで航空部品、韓国でコネクタ、半導体装置品、モーターコア金型、インドで2輪、4輪関連、タイの車部品関連等は堅調を維持している。北米では航空機部品加工、発電、電子部品、医療機器は堅調に推移し前年同期比大幅な売上増となった。AI関連による半導体需要は増加しており関連する光ケーブル、コネクタ部品の加工需要増加を見込んでいる。欧州は航空部品、医療機器は堅調に推移しているが、自動車関連の低迷長期化の影響等により前年同期比売上減となった。
 保守サービス、消耗品販売は、日本、北米中心に展開が進んでいるが、その他の地域においても堅調に推移している。今後さらに保守サービス、消耗品販売比率を高め、事業安定化を図っていく。
 セグメント利益は、生産構造改革として掲げた中国の生産集約化、人員配置の適正化を進め、さらに収益改善の施策や生産台数増加により売上原価が低減し、34億47百万円となった

<産業機械事業>
 売上高9,560百万円 (前年同期比 10.8%増)/営業利益 823百万円 (前年同期比 1,301百万円増 )。

 日本全体の市況は軟調だが、データセンター向け光コネクタ、スマートフォン系電子部品、医療機器等の一部の業界で需要が継続している。特に光コネクタへの設備投資意欲は旺盛で、精密成形を得意とする当社としても積極的に受注獲得を見込んでいる。また、補助金によるプラスチックリサイクル向けAI-VENT(液状プラスチック噴出自動抑制機能、乾燥レス成形)搭載射出成形機の需要がみられるも、国内自動車メーカーは、設備投資は依然として抑えており、総じて低調な傾向が継続した。
 中華圏も全体市況は軟調だが、光コネクタ、スマートフォン向け高精度アクチュエーター等一部業界で堅調だった。アジア地域は、タイは国内向け自動車が低調だったが、韓国ではモバイル向けコネクタが堅調に推移した。
 セグメント利益は、構造改革による収益性の高いモデルの販売へシフトしたことや生産台数増加等により売上原価低減も進み、8億23百万円となった。

<食品機械事業>
 売上高 7,695百万円 (前年同期比 11.5%増 )/営業利益969百万円 (前年同期比 93百万円増 )。

 国内外における製麺機関連設備や無菌包装米飯製造装置等の需要は堅調に推移しており、売上高、セグメント利益ともに前年同期比で増加した。日本の市況は堅調であり、米飯・製麺設備の更新需要が継続している。米飯製造装置は新規設備に加え他社製品の老朽化設備の更新需要や省力化需要も取り込み、安定的な売上を維持していく。
 海外(中華圏およびアジア)の市況も総じて堅調であり、中国での無菌包装米飯装置、中国・台湾・韓国で冷凍麺設備を受注するなど、引き続き中華圏、アジアを中心とした食の高品質化やインフラの整備等による生麺、冷凍麺や米飯の需要増加の対応を着実に進めている。主力製品に加え、惣菜、製菓関連へも展開している。

<その他>
 売上高 5,057百万円 (前年同期比 2.5%増/営業利益 △323百万円 (前年同期比 631百万円増)。

 精密コネクタなどの受託生産を行う金型成形事業とリニアモータやセラミックス製品、LED投光器等の販売を行う要素技術事業から構成されている。金型成形事業は、主な需要先は自動車業界であり需要の回復が遅れている。要素技術事業の外販セラミックス製品は、主要顧客の半導体業界は下期にかけて徐々に回復傾向であり、FPDへの設備投資の増加を見込んでいる。また、半導体製造関連等の新販路拡大を目指している。要素技術事業のLED投光器は、工期と検収の後ろ倒しにより売上未達となったが、エネルギー価格高騰や環境問題への意識向上によりLEDの交換需要が高まりを見せており、今後、新製品での複数の大口案件の受注を見込んでいる。
 以上の結果、金型成形事業の売上高は前年同期比で微増となり、要素技術事業のリニアモータやセラミックス製品の売上高は前年同期比増加し、LEDは減少となった。セグメント利益は、構造改革や販管費削減等の効果により、前年同期比で営業損失は縮小している。

■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

 今後の世界経済については、米中貿易摩擦、ウクライナ、中東、アジアの地政学的リスク等、依然として先行き不透明な状況が続くものと想定している。脱炭素化の世界的な流れは、米国の政権交代に伴う政策変更の影響で一部の国や市場で当面停滞が予想されるものの、中長期的には社会課題解決に向けた自動化、再生可能エネルギー、労働生産性向上などの設備投資の拡大傾向が継続するものと予想している。また、同社の主要な仕向け先である自動車産業においては、世界におけるEVシフトは当面の間、一部地域や国で停滞が予想されるが、中長期的には拡大が見込まれ、 「CASE (Connected、Autonomous、Shared/Service、Electric)」や「MaaS (Mobility as a Service)」の対応に伴う自動車の軽量化・電装化ニーズの高まりや、AIやIoTの進展に伴う高精度機の設備投資需要は高まると見込まれている。
 同社としては、収益性の改善を喫緊の経営課題と認識しており、 シートの改善」 、収益性の改善と向上を目的とした「選択と集中」 「中国市場依存からの脱却」 、 「バランス、 「生産、販売体制をグローバルで再構築」の方針のもと、構造改革を引き続き推し進めていく。

<工作機械事業>
 売上高53,000百万円 (前年同期比3.2%増)/営業利益 5,000百万円 (前年同期比 1,552百万円増)。
 自動車、半導体、電子部品向けを中心に、ものづくりの高度化・省人化に伴う高精度機の需要は中長期的には増加が見込まれる。米国、欧州、インド、メキシコなどの地域での販売強化に注力するとともに、日本においては生成AIの普及に伴い、データセンターへの設備投資が増加しており、光通信デバイス、超精密度光コネクタ(MTフェルール)等への需要拡大が見込まれます。また、中華圏においては機械販売に加え、保守サービス、消耗品販売の強化も取り組むことにより、売上高は前期比で増加となる見通し。

<産業機械事業>
 売上高10,800百万円 (前年同期比 13.0%増)/営業利益 800百万円 (前年同期比 23百万円減 )。

 日本において生成AIの普及に伴い、電子部品向けの需要拡大を見込んでいる。また、電力消費量・廃棄物の削減を始めとする環境対応への注目度も高まっている。そのような環境の中、同社は独自技術であるV‐LINE方式の射出成形機により安定した可塑化・計量・射出を実現し、さらに独自の液状プラスチック噴出自動抑制機能等の環境対応も行い、ものづくりの高度化、電子部品、医療機器産業等でのニーズを捉え、超精密成形部品分野での強みを生かし、売上高は前年同期比で増加となる見通し。

<食品機械事業>
 売上高 7,900百万円 (前年同期比 2.7%増 )/営業利益800百万円 (前年同期比 23百万円減)。

 アジア地域において米飯製造装置、製麺機等の需要が継続するため、売上高は前年同期比で増加となる計画。麺、米飯に次ぐ第3の柱として菓子、惣菜等の分野への展開を進めるほか、ベトナム等の東南アジアでの販売拡大を目指す。

<その他>
 売上高 5,700百万円 (前年同期比 12.7%増/営業利益 300百万円 (前年同期比 623百万円増 )。
 
 セラミックスの需要は停滞が継続するものの、金型成形事業での成形アイテムの拡充とLED照明の新製品の販売拡大により、売上高は前年同期比で増加となる見通し。

 2025年 12 月期通期連結業績予想については、売上高774億円(前期比5.1%増)、営業利益43億円(92.7%増)、 経常利益38億円(4.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益29億円(29.5%減)。

 前提となる為替レートは、1ドル 150 円、1ユーロ 165円を想定して いる。

 ソディックの2024年12月期決算短信

 決算説明会資料
 決算補足資料