㈱タダノが2月14日に発表した2023年12月期(1〜12月)連結業績によると、売上高は2,802億6千6百万円、海外売上高比率は64.4%となった。 うち日本向け売上高は、997億1千万円、海外向け売上高は、1,805億5千6百万円。営業利益は、183億4千9百万円、経常利益は163億6千7百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は77億7千3百万円となった。
タダノグループは、前期より決算期を3月31日から12月31日に変更し決算期を統一した。従って、前年度は決算期変更の経過期間となるため、タダノ及び3月決算だった連結対象子会社は9か 月間(2022年4~12月)、12月決算の連結対象子会社は12か月間(2022年1~12月)を連結対象期間とした変則的な決算となったため、対前期増減率を記載していない。
2023年におけるわが国経済は、各種経済政策効果もあり、緩やかに回復した。海外においても、一部地域に弱さがみられるものの、景気は緩やかに回復した。一方で、ロシア・ウクライナ問題の長期化やイスラエル・パレスチナ情勢、インフレ・円安進行などにより、原材料・エネルギー価格は高止まりし、調達・物流環境は厳しい状況が続いた。
タダノの関連業界は、日本では、大規模工事が実施・計画されており、需要は堅調に推移した。海外においては、 欧州・アフリカを除く全ての地域で需要は大幅な増加となった。
また、2018年1月19日に公表した米国排ガス規制の緩和措置に関する自己申告について、米国当局(環境保護 庁および司法省)との間で本件に関する民事制裁金の支払い及び環境負荷低減プロジェクトへの資金供出について合意した。詳細については、2023年9月1日付で公表した「米国排ガス規制の緩和措置に関する当局との民事制裁金 等の合意について」を参照。
■セグメント別の状況
セグメント別とは、タダノ及び連結対象子会社の所在地別の売上高・ 営業利益であり、仕向地別売上高とは異なる。また、第1四半期より、従来「その他」に含まれていた「オセアニア」について重要性が増したため、報告セグメントとして記載する方法に変更している。
1)日本:建設用クレーンの需要が増加する中、売上高は1,844億8千1百万円、営業利益は262億2百万円となった。
2)欧州:建設用クレーンの需要が横ばいで推移する中、厳しい調達環境による生産制約の継続もあり、売上高は902億9千9百万円、営業利益は138億3千4百万円の損失となった。
3)米州:建設用クレーンの需要が増加する中、売上高は947億5千1百万円、営業利益は71億1百万円となった。
4)オセアニア:建設用クレーンの需要が増加する中、売上高は153億1百万円、営業利益は20億9千7百万円となった。
5)その他:建設用クレーンの需要がアフリカを除き増加する中、売上高は71億8千万円、営業利益は8億7千6百万円となった。
■主要品目別の状況
1)建設用クレーン:日本向け売上高は、需要が増加し、492億1千8百万円となった。海外向け売上高は、欧州・アフリカを除 く全ての地域で需要が大幅に増加し、1,500億1千4百万円となった。
この結果、建設用クレーンの売上高は1,992億3千2百万円となった。
2)車両搭載型クレーン:日本向け売上高は、需要が増加し、155億8千3百万円となった。海外向け売上高は、24億1千2百万円となった。
この結果、車両搭載型クレーンの売上高は179億9千6百万円となった。
3)高所作業車:高所作業車は、トラックシャシ供給制約により、需要が減少する中、売上高は162億3千万円となった。
4)その他:部品、修理、中古車等のその他の売上高は、468億6百万円となった。
■ 次期の見通し
タダノグループは、「中期経営計画(24-26)」を策定し、新たな3か年の中期経営計画をスタートした。「Reaching new heights ~新たなステージへ~」をスローガンに、業界のリーディングカンパニーとして、顧客の安全と地球環境に配慮した新たな価値を提供するための戦略を推進する。
成長戦略の骨子として、(1)脱炭素化を加速、(2)新たな領域への挑戦、(3)強みを活かしたものづくり改革、(4)変革を支える足場固め、を掲げると同時に、持続的な成長に向けた「資本コストや株価を意識した経営」と「サステナ ビリティ課題への対応」を重視し、「世界にそして未来に誇れる企業」を目指す。
2024年12月期の連結業績予想については以下のとおり。
売上高3,150億円(前期比12.4%増)、営業利益200億円(同9.0%増)、経常利益170億円(同3.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益95億円(同22.2%増)。
為替レートは、140円/米ドル、155円/ユーロを前提としている。
世界経済全体としては、長期化するロシア・ウクライナ問題やイスラエル・パレスチナ情勢等の地政学リスクの高まりに加え、米国はじめ各国で総選挙が予定されるなど、より一層先行き不透明感が増している。
タダノグループを取り巻く市場環境については、日本では、インフラ投資や災害対策などの大型工事を中心に建設用クレーンの高稼働が続くものと見込まれる。海外では、世界経済の減速により一部地域で需要減少が見込まれるものの、原油をはじめとした資源関連プロジェクトに加え、インフラ関連プロジェクトやクリーンエネルギー関連工事等による下支えもあり、建設用クレーンの稼働は全体として横ばいで推移する見込み。
コスト上昇の傾向は続くものと予想され、製品価格の見直し等による利益確保に努める。また、将来の持続的成長に向け、電動化などの環境対応をはじめとした新製品開発や、生産体制の再構築に向けた投資を計画している。
タダノの2023年12月期決算短信
決算説明資料
中期経営計画(24ー26)
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