ヤマシンフィルタが2月5日に発表した2024年3月期第3四半期(4〜12月)連結業績によると、売上高は133億7百万円(前年同期比5.7%減)、営業利益は 9億38百万円(同12.1%減)、経常利益は9億41百万円(同12.2%増)、親会社株主に帰属 する四半期純利益は6億37百万円(同16.7%増)となった。
第3四半期連結累計期間における世界経済は、米国では良好な雇用情勢と賃金上昇により個人消費が堅調に推移する一方で、欧州や中東での地政学リスクの長期化を背景としたエネルギ ーコストの上昇や資材価格の高騰、世界的なインフレに伴う金融不安等の影響等により、依然として先行き不透明 な状況が継続している。
このような環境の中、ヤマシンフィルタグループの主力事業である建機用フィルタ事業においては、中国市場では、依然とし て需要の低迷が継続している。一方、北米市場では、住宅着工件数は調整局面が継続する中、住宅に対する潜 在需要は根強く、需要は堅調に推移した。また、日本市場、並びに欧州及びアジア市場においても、建機の稼働時間と新車需要は概ね堅調に推移したが、前年度におけるコロナ禍からの回復需要に伴う増収の影響等により、第3四半期連結累計期間における売上高は減収となった。
利益面では、当該外部環境変化への対応策として、適正価格への価格転嫁の実施により収益性の改善は着実に図 られた一方で、販売数量の減少やアルミや鋼材等の主要原材料価格やエネルギーコストの高騰の影響等により減益となった。
ヤマシンフィルタグループは、既存のガラス繊維を使用したフィルタ製品から、環境負荷低減に貢献するナノファイバーを使用したロングライフのフィルタ製品や油の汚染度やフィルタの交換時期を感知する差圧センサを搭載した高付加価 値フィルタ製品の主要得意先への提案を進めており、各建機メーカの新機種への製品供給が開始されている。 また、カーボンニュートラルへの取り組みの一環として、バイオマス樹脂を用いたナノファイバーの開発、リサイ クル樹脂の不織布を用いたフィルタ製品の開発を推進している。
一方、減益要因となっている原材料価格やエネルギーコストの高騰に対しては、適正価格への更なる価格転嫁を 実行するとともに、原価改善の取り組みとして、プロジェクトPAC23の推進に加え、設計開発段階での機能や材料の 見直し、生産プロセスの効率化、品質管理の更なる強化等を行うことにより製品ライフサイクル全体でのコストの 削減に取り組み利益の改善に努めていく。更には、サプライチェーンの見直しや生産地移管によるグローバ ル生産供給体制の構築により、原材料調達の安定化と物流コストの低減を実現することで、外部環境変化やリスク への適応力の強化を図り、資本効率の更なる改善と収益性の拡大に努めていく。
エアフィルタ事業においては、主力製品であるビル空調用フィルタの交換需要の回復により、売上高は増加した。利益面では、価格転嫁の実施に加え、収益性の高い中性能フィルタの販売増加、経費削減等の効果によ り、増益となりました。また、新たにロングライフ、低圧損、高捕集率のナノファイバー製エアフィルタ(製品名 :NanoWHELP)の、オフィスビルや商業施設、ホテル、病院、工場等への採用が進展している。同社製品である NanoWHELPはその素材の特性により他社製エアフィルタに比し、年間で約30%近いCO2の削減効果と同時に光熱費も 大きく低減できる製品であることから、温室効果ガス削減のための有用な手段の一つとして、ビル用空調システム市場を中心に今後大きく成長することが見込まれる。また、ヤマシングループは国内では唯一、エアフィルタ性能規 格として最も権威のあるアメリカ暖房冷凍空調機学会(ASHRAE)の定めるエアフィルタの性能等級であるMERV(16 の等級に区分され最高性能等級は16)では同社のNanoWHELPはMERV14・15・16の3つの等級を取得しているフィルタ メーカであり、この高い競争力と信頼性を生かし、今後、欧米市場をはじめとした、海外市場の開拓にも積極的に 取り組んでいく。また、このNanoWHELP開発の技術を生かして、これまで実用が困難であった熱可塑性高分子 系不織布によるナノファイバーHEPAフィルタの開発に取り組んでいる。同製品は従来のガラス繊維HEPAフィル タのように水を使用しない工程での生産が可能となり、かつ有機フッ素化合物も使用していないPFAS対応の製品で あることから、環境問題への意識高まる中でガラス繊維ろ材に置き換わる製品になることが期待されている。
今後もヤマシングループは、総合フィルタメーカとして「環境」「空気」「健康」をテーマに持続可能な社会・経済 活動に貢献する企業として社会的責任を果たしていく。
■ 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
①建機用フィルタ事業
前回通期の業績見通しを公表した2023年11月6日時点と比較し、第3四半期累計期間において、中国市場を除く主要市場の堅調な需要に支えられ、売上高は前回公表値を上回る見通し。
一方、利益面では、得意先への価格転嫁の進展や、原材料価格やエネルギーコストの高騰、円安の進行による コスト増加に対しての原価低減活動の効果等により、営業利益は前回公表値を大幅に上回る見通し。 以上を踏まえ、通期業績予想の修正した。
②エアフィルタ事業
エアフィルタ事業については前回公表値を据え置いた。今後、市場環境の変化が業績等に影響を与える場合には速やかに開示する。
2024年3月期連結業績予想は以下に修正した。売上高17,410百万円(前期比6.4%減)、営業利益1,090百万円(同11.8%減)、経常利益1,130百万円(同23.5%増)、親会社株主に帰属す る当期純利益760百万円(同17.8%増)。
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