DMG森精機は、2023 年 12 月 13 日、以下の声明を発表した。以下、リリース原文。
■2023 年 12 月 11 日テレビ東京「日経ニュース プラス9」の内容について
2023 年 12 月 11 日にテレビ東京により放送された「日経ニュース プラス9」の特集「輸出管理体制に抜け穴! 日独ハイテクマシン 中国 兵器開発に転用?」の内容について、以下のとおり誤りがございます。
当社としては、取り急ぎ、特に視聴者に大きな誤解を与えかねないと思われるものについて指摘いたします。
1.日本メーカーから中国への 5 軸加工機の輸出について
番組内では中国への 5 軸加工機の輸出については、日本の工作機械メーカーは輸出許可が得られないため、日本からは輸出していないと説明されています。
しかしながら、実際には日本の工作機械メーカーは、当社のみならず、他社も含めて輸出許可を取って 5 軸加工機を中国へ輸出しています。現に日本工作機械工業会がまとめた工作機械統計要覧によれば 2022 年の実績として日本から中国へ 499 台の 5 軸加工機が輸出されています。
2.ドイツから中国工程物理研究院(CAEP)への輸出について
番組内では、当社のドイツ子会社(DMG MORI AG 社)がドイツ政府の許可を得て中国工程物理研究院(CAEP)へ 5 軸加工機を輸出している、と理解できる説明がされています。
しかしながら、DMG MORI AG 社は、CAEP を顧客とした輸出許可は得ておらず、少なくとも DMG MORI AG社の機械についてはドイツ政府が CAEP 向けの輸出を許可しているという説明は誤っています。
なお、CAEPにおいて発見された 5 軸加工機は、2010 年から 2011 年頃に製造されたものと推測しており、その当時は、当社が保有する現 DMG MORI AG 社の株式比率は 2.9%~15.3%程度であり、子会社ではありませんでした。本件については別紙の当社の 2023 年 11 月 8 日付リリースでも同様の説明をしております。
3.当社の中国向け輸出について
番組内では、中国への輸出については、当社が日本から直接輸出せず、全量ドイツから輸出していると説明されています。
しかしながら、当社は日本製の機械を中国へ輸出しており、この場合には全て日本政府から輸出許可を得たうえで直接日本から中国へ輸出しております。
また、番組内ではドイツ製機械への移設検知装置の取付について、日本経済新聞による取材がきっかけであるような説明がされています。
しかしながら、当社ではドイツ製機械への移設検知装置の搭載は、2021 年より計画を立てて順次開始していたものであり、2023 年 4 月からの中国向け機械への移設検知装置搭載もその計画に沿ったものです。本件についても当社の 2023 年 11 月 8 日付リリースで説明のとおりです。
以上
別紙(当社 2023 年 11 月 8 日リリース)
■日本経済新聞の掲載記事について
2023 年 11 月 8 日の日本経済新聞に当社の子会社であるドイツ DMG MORI AG 社(以下「AG 社」といたします。)製と推定される工作機械が中国工程物理研究院(CAEP)において使用されているとの記事が掲載されました。
DMG MORI グループは、上記の組織については、出荷先として把握しておりません。当社及び AG 社においては日本及びドイツをはじめとする各国の輸出管理法令の遵守を徹底するため、妥協なく販売先の調査をしたうえで当局の許可を得ております。よって、当該工作機械については、2010 年から 2011 年頃に製造され、法令に準拠した手続きによって輸出された後に不法に転売されたものと推測しております。
当社では、輸出許可を得るために当局に申請した当初の最終ユーザから転売された場合の転売先の把握は極めて困難であることから、2006 年より工作機械が移設された場合に機能しないようにする移設検知装置を搭載しております。
移設検知装置を搭載した場合、ユーザは、転売時は当然ながら、自社の工場内での移設であっても当社に事前に通知することが必要となっております。これにより、万が一にも輸出管理上出荷の許可がされないユーザへの転売時もその利用を阻止すると同時に不正な転売を抑止しております。
一方で、2016 年より当社の子会社となった AG 社では移設検知装置は従来搭載されていませんでしたが、2 社間における輸出管理体制の強化のための施策の最終段階として、ドイツをはじめとする AG 社製の機械にも移設検知装置を搭載する計画を進めており、2021 年より順次移設検知装置の搭載を開始し、2023 年 4 月からは中国向けも対象とし、今般 2023 年 11 月からは AG 社で生産される全ての機械にも搭載いたします。
以上の施策の中には 2023 年 4 月からの受注時の審査強化も含まれております。近年は審査過程で年間100 件の受注、金額にして約 80 億円分を辞退しております。
このような対策はドイツ及び欧州においては法令上の要求を超える内容であり、移設検知システムの構築には、装置だけでなく、多大な努力と人員、手間を必要としますが、工作機械メーカーとしての社会的責任から、DMG MORI グループとして輸出管理のための必要かつ当然の責務と考えております。これからも全世界においてより高度な体制を構築し、厳格に輸出管理を運用していく方針です。
以上
ニュースリリース
*リリース内容から「ですます調」で表記しています。