竹内製作所、23年2月期売上は27%増の約1,790億円、利益とも過去最高

・次期予想は5.6%増の 1,890億円

 ㈱竹内製作所が4月11日に発表した2023年2月期(2022年3月〜23年2月、2022年度)の売上高は過去最高の1,789億6千6百万円(前年度比27.0%増)となり、利益面においても、各段階利益はそれぞれ過去最高となった。原材料価格の上昇及び運搬費の増加等の減益要因はあったものの、販売台数の増加に伴う売上高の増加、製品価格の値上げ、及び円安影響等により、営業利益は212 億2千1百万円(同19.5%増)となり、経常利益は213億7千9百万円(同18.2%増)となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、税金費用を53億9千9百万円計上したため、159億7千9百万円(同19.7%増)となった。

 竹内製作所2023年2月期データ

 2022年度の世界経済は、世界的なモノ不足が続いたなか、ロシアのウクライナ侵攻に対する大規模な経済制裁によって、部品・資材・エネルギー不足と物価高に拍車がかかった。歴史的なインフレと物価安定を企図した欧米各国での急速な利上げは、企業活動にも消費活動にもマイナスの 影響を与えるとともに、為替相場の急変を招いており、引き続き予断を許さない状況が続いている。

 このような環境下にあっても、衣食住の「住」に深く関わり、社会インフラを支えるエッセンシャル事業に必要不可欠な同社製品の需要は、今後も安定拡大が見込めると考えており、竹内製作所グループでは生産能力の増強に取り組んで いる。

 2022年4月に取得した米国サウスカロライナ州の工場において、2022年9月からクローラーローダー の生産を開始した。同製品の9割以上が米国で販売されており、今後は世界最大の市場である米国で生産することにより、リードタイムを短縮し、より機動的な供給体制を構築することで、販売台数と市場シェアの拡大を図る。販売面では、2022年9月にミニショベルの新製品「TB335R」を市場投入した。

 また、グループの製品需要は欧米ともに好調を維持しており、2022年度の受注高は2,358億6千4百万円 (前年度比2.6%増)となった。一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響長期化、慢性的な部品不足、 及び不安定な海外情勢等の複合的な要因により、部品入荷の遅延が依然続いている。これに伴い、グループの生産台数は前年度をやや下回り、2022年度の受注残高は1,907億4千7百万円(同42.5%増)となった。

■セグメント別の経営成績

(日本) 日本セグメントは、売上高のほとんどが欧州ディストリビューター向けの販売で占められている。欧州では、 ウクライナ侵攻や世界的な原材料価格の高騰等を背景とした物価上昇から、政策金利が引き上げられるなど先行きは 引き続き不透明な状況にあったが、製品販売は引き続き好調に推移した。欧州ディストリビューター向けの ミニショベル及び油圧ショベルの販売台数は大きく増加し、売上高は606億5千8百万円(前年度比23.8% 増)となった。セグメント利益は、原材料価格及び運搬費の増加等の減益要因はあったものの、売上高の増加、 製品価格の値上げ、及び円安影響等により、132億9百万円(同6.1%増)となった。

(米国) 米国セグメントでは、住宅市場において金利上昇と木材等の材料不足が懸案事項ではあるものの、製品販売は引き 続き好調に推移した。米国ではミニショベル、 油圧ショベル及びクローラーローダーの販売台数が大きく増加 し、製品価格の値上げ、及び円安影響等により、売上高は985億6百万円(前年度比43.4%増)となり、セグ メント利益は98億9千5百万円(同56.0%増)となった。

(英国) 英国セグメントでは、製品需要は好調を維持したものの、現地での製品在庫の不足により、販売台数は前年同期に比べて減少した。製品価格の値上げや円安影響はあったものの、 売上高は121億3千万円(前連結会計年度比 12.9%減)となり、セグメント利益は11億1百万円(同12.3%減)となった。

(フランス) フランスセグメントでは、製品需要は好調を維持したものの、現地での製品在庫の不足により、販売台数は前年同期に比べて減少した。製品価格の値上げや円安影響はあったものの、売上高は75億2千3百万円(前年度比18.3%減)となり、セグメント利益は6億8千2百万円(同9.6%増)となった。

(中国)  中国セグメントでは、東南アジア向けに製品を販売したこと等により、売上高は1億4千7百万円(前年度比122.7%増)となったが、原材料価格の高騰により、セグメント利益は2千万円(同76.1%減)となった。

■今後の見通し

 竹内製作所グループの主力市場は米国及び欧州であり、欧米各国における住宅関連工事、生活インフラ整備工事、官民の建設投資に竹内製作所製品は使用されている。ロシアによるウクライナ侵攻、部品・資材・エネルギー不足と物価高、 欧米各国での利上げや不安定な為替相場など、世界経済の先行きは不透明感が増しているが、衣食住の「住」に深く関わり、エッセンシャル事業に必要不可欠な同社製品の需要は、中長期的に安定拡大が見込めると考えており、 2024年2月期も引き続き好調に推移すると予想している。

 このような状況下、竹内製作所グループでは生産能力の増強に取り組んでいる。2022年9月には米国サウスカロライ ナ州で米国工場が稼働開始し、セミノックダウン方式(日本の本社工場で製品が自走できる状態にまで組み立てて、 残りの工程を米国工場で行う生産方式)により、クローラーローダーを生産している。2023年5月に米国向けク ローラーローダーの全量をセミノックダウン方式に切り替え、2023年10月には稼働率が90%に達する見込み。しかし、本社工場から米国工場までの輸送期間、及び米国工場での製造から販売までの期間を勘案すると、12月決算である米国子会社でのクローラーローダーの販売台数増加への本格的な貢献は、2025年2月期になると見込んでいる。

 また、2023年9月には長野県小県郡青木村でも新工場の稼働開始を予定しており、4トン~9トンのミドルクラ スのショベル生産を本社工場から移管する予定。2023年10月から徐々に生産台数を上げていく計画だが、欧米までの輸送期間を勘案すると、12月決算である米英仏の子会社でのショベルの販売台数増加への本格的な貢献は、 2025年2月期になると見込んでいる。

 以上により、2024年2月期の販売台数は前年度に比べて1.8%増加にとどまり、連結売上高は5.6%増加の 1,890億円となる見通し。利益面については、営業利益は240億円(前年度比13.1%増)、経常利益 は239億円(同11.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は172億円(同7.6%増)となる見通し。

 これは主に、買入部品の調達価格の高騰、新工場の稼働開始に伴う労務費や減価償却費等の固定費の増加、及び人的資本への投資としての人件費の増加等による減益要因を見込んだが、欧米向けの海上運賃の大幅な減少を見込んだこと、 及び販売価格の値上げを予定していること等によるもの。

 竹内製作所の2023年2月期決算短信

 決算短信参考資料