住友重機械工業が2月13日に発表した202212月期の受注高は9,847億円、売上高は8,541億円となった。損益面については、営業利益は448億円、経常利益は433億円となったが、多額の特別損失を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は58億円となった。特別損失は主に、住友重機械工業の完全子会社であるSumitomo SHI FW Energie B.V.において、世界的な脱炭素の動きを受けて主力事業である固体燃料焚ボイラ市場が大幅に縮小し、同社の買収時に想定していた収益の実現が困難であるとの判断に至ったことから、のれんを含む固定資産の減損損失を計上したことによるもの。
■連結会計年度の概況
住友重機械工業は、2022年6月29日に開催された第126期定時株主総会で、「定款一部変更の件」が承認されたことを受けて、2022年度より決算日を3月31日から12月31日に変更した。決算期変更の経過期間となる2022年度は、住友重機械工業及び3月決算であった連結子会社は2022年4月1日から2022年12月31日の9か月間を、12月決算であった連結子会社は2022年1月1日から2022年12月31日の12か月間を連結対象期間とする変則的な決算としている。このため、②部門別事業の状況では、当連結会計年度と同一期間となるように組み替えた前期(以下「調整後前期」という。)による比較情報を記載している。
2022年12月期における住友重機械工業グループを取り巻く経営環境は、国内においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響が一部残るものの製造業を中心に設備投資は堅調に推移し、海外においては、米国や欧州などで経済の回復を背景に設備投資は底堅い伸びを示すなど、世界的に機械需要は増加基調となった。一方、中国では新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンの影響が出るなど一部の地域や業種では停滞もあり、二極化の動きが見られた。また、これに加え、原材料や調達品の価格上昇と需給逼迫、ロシア・ウクライナ問題に代表される地政学上のリスクの継続、急激な為替相場の変動及び原油価格の変動など、不透明感が残る状態でもあった。
このような経営環境のもと、住友重機械工業グループは「中期経営計画2023」で掲げる、製品・サービスによる社会課題解決を通じた持続的な企業価値拡大をめざし、強靭な事業体の構築、企業価値向上のための変革、SDGsへの貢献拡大、環境負荷低減への取組み強化などの施策を推進してきた。
■部門別事業の状況
ⅰメカトロニクス
国内や欧米で中小型の減・変速機やロボット用精密減速機、インバータの需要が増加し、受注、売上、営業利益ともに増加しました。この結果、受注高は2,041億円(調整後前期比15%増)、売上高は1,814億円(調整後前期比26%増)、営業利益は95億円(調整後前期比42%増)となった。
ⅱインダストリアルマシナリー
プラスチック加工機械事業は、コロナ禍からの回復で好調であった中国や欧州の需要が落ち着いたことから受注は減少しましたが、受注残もあり売上は増加しました。一方、原材料や調達品の価格上昇などにより営業利益は減少しました。その他の事業は、半導体関連の需要が増加したことや医療機械器具の受注が増加したことなどから、受注、売上、営業利益ともに増加しました。この結果、受注高は2,667億円(調整後前期比17%増)、売上高は2,249億円(調整後前期比18%増)、営業利益は213億円(調整後前期比51%増)となった。
ⅲロジスティックス&コンストラクション
油圧ショベル事業は、景気減速やロックダウンの影響により中国市場の需要が大きく減少したものの、国内や北米は堅調であったことから受注、売上は増加しましたが、中国市場での売上減少や債権に対する引当金の計上などにより営業利益は減少しました。その他の事業では、建設用クレーン事業が、北米地区の需要が堅調に推移したことなどから、受注、売上、営業利益ともに増加しました。また、運搬機械事業は、港湾・電力向け需要が堅調に推移したことなどから受注、売上、営業利益ともに増加しました。この結果、受注高は3,541億円(調整後前期比5%増)、売上高は3,003億円(調整後前期比6%増)、営業利益は130億円(調整後前期比18%減)となった。
ⅳエネルギー&ライフライン
エネルギープラント事業は、バイオマス発電設備の大型案件が前期に比べ減少したことなどから受注、売上は減少し、加えて欧州で大型プロジェクトの採算悪化があったことから営業損失となった。その他の事業は、受注、売上、営業利益ともに増加しました。この結果、受注高は1,552億円(調整後前期比6%増)、売上高は1,433億円(調整後前期比8%減)、営業損失は5億円となった。
ⅴその他
受注高は46億円(調整後前期比3%減)、売上高は41億円(調整後前期比9%減)、営業利益は15億円(調整後前期比7%減)となった。
■今後の見通し
現時点での2023年12月期の業績見通しは、以下のとおり。なお、2022年12月期は決算期変更の経過期間となることから、対前期増減率は記載していない。
連結業績は、売上高1兆500億円、営業利益640億円、経常利益600億円、親会社株主に帰属する当期純利益380億円。
為替レートは1ドル=125円、1ユーロ=135円を前提としている。
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