コマツ、Anglo Americanとブラジル鉱山で大型ICTブルドーザーの遠隔操作トライアル

・自動化・自律化、遠隔操作化の実現を加速

 コマツは3月28日、100%子会社であるコマツブラジルインターナショナル(有)を通じて、英資源大手Anglo American社と、鉱山向け大型ブルドーザー「D375Ai-8 遠隔操作仕様車」のトライアルを2022年に実施する覚書を締結したと発表した。両社は今後、Anglo American社が保有するブラジル南東部のMinas-Rio鉄鉱山での本トライアルを通じて、鉱山現場の課題である安全性と生産性の両立に向けた新たなソリューションの確立を目指していく。

 近年、鉱山現場においては、大型ブルドーザーの熟練オペレーター不足や人材確保が困難等の課題がある。コマツは2017年より建設・鉱山機械の遠隔制御システムの開発を目的とした実証実験を開始、2018年には試験用の第5世代移動通信方式を用いた通信サービス(5Gサービス)を利用した大型ブルドーザーの遠隔操作のデモンストレーションを実現した。この鉱山向け大型ブルドーザーの遠隔操作技術は、車体と作業機周辺に設置された複数の高画質カメラと低遅延映像伝送技術を通じて、遠隔操作用コンソールのディスプレイにて、車体の前後左右、作業機を視認でき、搭乗運転と同様の映像を映し出すことを可能としている。

 また、通常、ブルドーザーの操作には掘削および整地工程において細やかなブレード操作が必要となるが、遠隔操作では応答遅延が発生することが課題。コマツは、独自のブレード自動制御技術と、100%子会社であるモジュラーマイニングシステムズ(株)のマシンガイダンスシステム「ProVision」を組み合わせることにより、この課題に対応した。マルチモニターの車両情報およびマシンガイダンスモニター(ICT施工専用モニター)にてICT施工の状況を確認しながら、車両から数キロ~数十キロ離れたコンソールにいながらも実際の車体搭乗運転に限りなく近いブレード操作精度と生産性を実現している。

 今回の顧客の現場でのトライアルを通じて、2022年度中の量産を目指して鉱山向け大型ブルドーザーの遠隔操作化の技術の確立を進めていく。更に、現在開発を進めている鉱山向け大型ブルドーザーの自動運転化についても、鉱山における剥土工程をターゲットに、2022年度中に顧客の現場での実証実験を目指しており、鉱山機械の自動化・遠隔操作化の実用に向けて着実に取り組みを推進していく。コマツは、これからも、顧客と共に安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場の実現を目指していく。

 画像・上:ブラジルのMinas-Rio鉄鉱山で稼働する有人のブルドーザーD375A

 画像・下:今回新規開発した遠隔操作用コンソール

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