川崎重工、100MW級ガスタービンコンバインドサイクル発電プラントの営業活動を開始

 川崎重工業は3月22日、同社製ガスタービンの最大出力機種である30MW級の純国産高効率ガスタービン「L30A」を用いた世界最高水準の発電効率を誇るコンバインドサイクル発電プラント(以下、CCPP)の開発を完了、営業活動を開始すると発表した。

 CCPPとは、ガスタービンで一次発電を行い、その排熱を利用して排熱回収ボイラにより蒸気を発生させ、蒸気タービンで二次発電を行う複合火力発電プラント。CCPPは、同じ出力の蒸気タービン発電よりも始動時間が短く負荷応答性に優れ、発電効率が高いという特長がある。また、発電効率が上昇する分、廃棄される熱エネルギーが少ないという利点がある。

 今回開発したCCPPは、「L30A」ガスタービン2基、排熱回収ボイラ2基、蒸気タービン1基を基本構成とし、全て自社製品を採用した川崎重工グループ独自の発電プラント。川崎重工が長年培ってきた製品技術力とプラントエンジニアリング力を結集し、ガスタービン単体(※1)に加え、コンバインドサイクル全体としても高効率化を実現している。特に、発電効率は100MW級で55.2%(再熱式(※2))、90MW級で54.4%となり、ともに世界最高水準の発電効率を達成している。

 川崎重工はこれまでに、発電用ガスタービンでは12,000基以上、排熱回収ボイラでは67基、蒸気タービンでは370基以上の納入実績を国内外で有しており、豊富な経験や実績に裏付けられた信頼性を築いている。

 今後、世界の電力使用量は経済発展が著しい東南アジアを中心に増加していくとともに、従来の天然ガス産出に加えて、米国以外の新たなシェールガス供給国の増加も期待され、これに伴うガス火力発電所の建設需要の拡大によって、CCPPの市場も容量・地域ともに拡大が見込まれている。なかでも、出力が不安定な再生可能エネルギーの利用拡大等を背景に、新規導入や設備更新が進む分散型発電市場においては、高効率な設備や優れた負荷応答性への要求が顕著であり、川崎重工のCCPPはそれらのニーズに応えることが可能となる。

 ※1 ガスタービン「L30A」の高効率化、負荷応答性の向上に関する技術開発の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」によって実施された。

 ※2 再熱式CCPPのことで、蒸気タービンの途中段から蒸気を取り出して排熱回収ボイラの再熱器で再加熱し蒸気タービンへ戻すことで出力の向上を図ったもの。

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