IHI、福島県相馬市とパシフィックパワーと特定送配電・小売電気事業会社

IHIは6月7日、福島県相馬市および小売電気事業会社であるパシフィックパワー(東京都千代田区)と相馬市内における太陽光発電電力の地産地消の実現と、地域振興・発展に寄与することを目的に、特定送配電(小売供給含む)・小売電気事業を行う「そうまIグリッド合同会社」を設立したと発表した。

ニュースリリース

太陽光発電等の再生可能エネルギーは、東日本大震災以降、急速に普及している一方で、発電電力全量を系統に接続することができないという問題が顕在化してきている。IHIと相馬市は、この問題の解決と、2015年度復興庁公募の「新しい東北」先導モデル事業としてスタートした『水素を活用したCO2フリーの循環型社会創り』に向けて、太陽光発電の余剰電力を有効利用して全量地産地消する仕組みと、その余剰電力で製造された水素を利活用するスマートコミュニティ事業モデルの構築を目指し、2015年1月に共同研究を開始した。現在、2017年度後半の小売電気事業開始および2018年度の特定送配電事業開始に向けた準備を進めており、「そうまIグリッド合同会社」は、この取組みの一環として設立した会社となる。

IHI、相馬市、パシフィックパワーの3者は、このほど設立した「そうまIグリッド合同会社」の地域エネルギーマネジメントシステムを活用すること、更にはIHIが相馬市内に建設する太陽光発電設備で発電する再生可能エネルギーの余剰電力を水素や熱に転換し有効利用することで、再生可能エネルギーの地産地消の実現と地域主導の新たな自律事業モデルを創出し、被災地域の復興から地域経済の活力再生に向けた新しいまちづくりの一助となることを目指して、事業構築の推進に取り組んでいく。

IHIグループは、「21世紀の環境、エネルギー、産業・社会基盤における諸問題を、ものづくり技術を中核とするエンジニアリング力によって解決し、地球と人類に豊かさと安全・安心を提供するグローバルな企業グループとなる」というビジョンのもと、環境負荷低減を念頭に各種製品の提供を中心とした事業に取り組んでいる。

今回の「スマートコミュニティ事業」においても、相馬市に航空機エンジン部品の生産拠点を置く地元企業として、「そうまIグリッド合同会社」の設立を通じ、「太陽光からの水素製造技術」、「水素の燃料転換技術」、「余剰電力の熱転換・貯蔵技術等先進技術」を導入することにより、再生可能エネルギーの地産地消の実現と地域主導の新たな自律事業モデルを創出し、地域経済の活力再生に向けた取り組みに貢献していくとしている。

<新事業会社の概要>
商号: そうまIグリッド合同会社
本店所在地: 福島県相馬市(IHI相馬事業所内)
代表社員:株式会社IHI(職務執行者:国貞 寛)
設立日:2017年3月10日
資本金:990万円
出資会社・比率: IHI(85%)、福島県相馬市(10%)、パシフィックパワー(5%)
事業内容:登録特定送配電事業、小売電気事業および地域振興に関連する事業等

<スマートコミュニティ事業モデル概要>
事業エリア: 福島県相馬市 中核工業団地東地区内
エリア敷地面積:53,000㎡
太陽光発電出力(新設):1,600 kW
太陽光発電電力利用者:下水処理場他
余剰電力活用方法
・下水汚泥乾燥用熱源(電気ボイラで熱に転換)
・水素製造(水電解設備で水素に転換)