・大規模水素供給に弾み
荏原製作所は2月10日、−253℃の液化水素(実液)を用いた昇圧ポンプの運転試験に成功し、想定通りの流量・圧力性能を確認したと発表した。遠心ポンプによる昇圧量として世界最高圧力となる2.3MPa(揚程約3,350m)を達成し、大規模水素サプライチェーン構築と供給コスト低減に向けて技術的前進を果たした。
近年、カーボンニュートラル実現に向けて、燃焼時にCO2を排出しない水素の利活用が世界的に拡大している。水素受入基地や水素発電所などの大規模拠点では、液化水素を安定供給するため7MPa級の高圧供給が求められており、その実現には高性能な昇圧ポンプが不可欠となる。
現状では複数台のポンプを直列配置して段階的に昇圧する方式が検討されているが、システム効率の向上や設置面積の縮小の観点から、1台あたりの昇圧能力向上が重要課題となっている。
同社は2019年から液体水素昇圧ポンプの開発に着手。流体、熱、振動、高速回転など、長年培ってきたポンプ技術を活用し、高圧化・大容量化・高効率化を進めてきた。
今回の試験機は、流量53m³/hで2.3MPaを発揮する高圧設計を採用。−253℃の液体水素を用いた実液試験においても、安定した連続運転を確認した。2026年2月現在、同社調べによると、液化水素を用いた昇圧ポンプとしては公開情報ベースで世界最高圧力となる。
同社は今後、今回取得した実測データを基にスケールアップを進め、最小限のポンプ台数で所要圧力を実現できるシステムの構築を目指す。液体水素昇圧ポンプの性能向上を通じて、水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」各プロセスの高度化と需要拡大に対応していく方針だ。
なお同社は2023年2月、世界初となる液体水素昇圧ポンプの開発成功を発表しており、今回の成果はその技術発展形となる。今後は水素発電の商用化を見据えた大型・高圧機の開発を加速させ、水素エネルギー社会の実現に貢献する。
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