・プロセス・パフォーマンス・ソリューション事業を拡充、フロー制御分野の競争力向上
バルメット(Valmet):2025年12月22日
バルメット(Valmet)は、英国の産業用バルブメーカーであるセバーン・グループ(Severn Group)を、英プライベートエクイティのブルーウォーター(Bluewater)から買収することで合意した。買収対象は、セバーン・グロコン(Severn Glocon)、バルブテクノロジーズ(ValvTechnologies)、エルビー・ベントレー(LB Bentley)の3事業部門すべてで、買収金額は現金・無借金ベースで4億8,000万ドル(約749億円:156円換算、約4億1,000万ユーロ)となる。
セバーンは、60年以上にわたり過酷条件下での流体制御ソリューションを提供してきた実績を持ち、世界の主要プロセス産業向けに高付加価値のバルブ製品を展開している。高度な技術力、豊富な設置実績、グローバルな顧客基盤を強みに、精製・化学、鉱業、電力、上流石油・ガス分野などで事業を展開してきた。
今回の買収により、バルメットは「プロセス・パフォーマンス・ソリューション」セグメントを一段と強化し、ミッションクリティカル用途におけるバルブおよびバルブオートメーション分野でのリーディングポジションを高める。バルメットのフロー制御事業は、ネレス(Neles)、ジェームズベリー(Jamesbury)、ネレス・イージーフロー(Neles Easyflow)、バルブコン(Valvcon)、ストーネル(Stonel)、フローロックス(Flowrox)といったブランドを展開し、精製・化学、再生可能エネルギー・ガス、鉱業・金属分野を中核市場としている。2024年の同事業の売上高は7億9,100万ユーロだった。
バルメットのトーマス・ヒナースコフ社長兼CEO(Thomas Hinnerskov)は、「今回の買収は、当社の成長戦略『リード・ザ・ウェイ』を具体化する重要な一歩であり、プロセス・パフォーマンス・ソリューション事業とフロー制御事業の拡大につながる。過酷条件用途で実績を持つセバーンの技術力は、当社にとって理想的な戦略的適合先だ」とコメントした。
また、フロー制御事業責任者のシモ・サースキラハティ上級副社長(Simo Sääskilahti)は、「両社のバルブ技術と事業基盤は高い補完関係にあり、製品ポートフォリオの拡充、販売地域の拡大、サービス提供の深化といったシナジーが期待できる」と述べた。
一方、セバーンのペルトゥ・ロウヒルオトCEO(Perttu Louhiluoto)は、「ブルーウォーターの支援のもと、当社は英国のエネルギー向けメーカーからグローバル産業企業へと成長した。バルメットの傘下に入ることで、新市場開拓と成長加速が可能になる」としている。
セバーンの2025年売上高は約2億1,500万ユーロ、EBITDAマージンは約16%を見込む。従業員数は約950人で、主な生産拠点は英国、米国、インド。セバーン・グロコンとバルブテクノロジーズは重負荷用途バルブを主力とし、エルビー・ベントレーは海底用高性能バルブの分野で高い評価を得ている。
買収資金は、ダンスケ・バンク(Danske Bank A/S)およびOPコーポレート・バンク(OP Corporate Bank)からのコミットメント型融資で調達する。2025年第3四半期末時点でのバルメットのギアリング比率は38%で、買収完了後は約15ポイント上昇する見込みだが、2030年目標である50%未満は維持できるとしている。
取引完了は、関係当局の承認などを条件に、2026年第2四半期を予定している。
バルメットは、プロセス産業向けのグローバル技術リーダーとして、オートメーションおよびフロー制御を含むライフサイクル全体のソリューションを提供している。2024年の連結売上高は約54億ユーロ。本社はフィンランド・エスポー(Espoo)にあり、世界約40カ国で事業を展開している。株式はナスダック・ヘルシンキ(Nasdaq Helsinki)に上場している。