・受入基地・貯蔵インフラ整備を視野にMOU締結
荏原製作所は12月24日、韓国の大手ゼネコンであるGS建設(GS E&C)およびGSグループの商社部門を担うGSジャパン(GS GLOBAL JAPAN CO., LTD.)と、液化水素(LH₂)の安定的なサプライチェーン構築に向けた戦略的業務覚書(MOU)を締結したと発表した。韓国を中心に、液化水素の受入基地や貯蔵インフラの整備、実証プロジェクトの共同推進を進める。
■極低温ポンプ・圧縮機とEPC力を融合
荏原は、水素社会の実現に向け、「つくる・はこぶ・つかう」を軸とした水素サプライチェーン分野で、極低温ポンプやコンプレッサなどの先端技術を有する。一方、GSグループは大規模プラント建設におけるEPC(設計・調達・建設)の豊富な実績と、グローバルな調達・貿易ネットワークを強みとする。
今回の協業では、荏原の極低温流体を扱う機械技術と、GSグループのプラントEPCノウハウを組み合わせることで、韓国における液化水素関連インフラ整備での相乗効果を狙う。
■生産から利用まで一貫したサプライチェーン構築
MOUに基づき、3社は韓国国内で液化水素の受入基地建設や実証事業を共同で検討・推進する。液化水素の「生産」「貯蔵」「輸送」「利用」に至る全工程を包含したサプライチェーンの構築を目指し、将来的にはアジア、さらにはグローバル展開も視野に入れる。
■各社コメント
荏原 CP水素関連戦略ビジネスユニット 統括部長の塚本輝彰氏は、「GSグループとの強固なパートナーシップを通じ、当社が長年培ってきた先進技術を韓国およびグローバル市場に展開し、クリーンエネルギーの新たなエコシステム創出を目指す」とコメントした。
GS建設 CTO(副社長)のチョ・ソンハン(Cho Sung-Han)氏は、「今回の協業は、石油化学中心だったプラント事業をクリーンエネルギー分野へ拡大する重要な転換点。EPCの経験と荏原の先進技術を融合し、液化水素サプライチェーンの安定化に貢献したい」と述べた。
また、GSジャパン代表取締役のコ・ドンウク(Ko Dong-Uk)氏は、「日本拠点としての商社機能を生かし、日韓連携を軸にアジア、グローバル市場へとクリーンエネルギーのサプライチェーン拡大を推進する」と強調した。
■アジア発の国際サプライチェーン確立へ
3社は今回の協業を起点に、アジア地域での液化水素の安定供給体制構築と、世界をリードする国際的サプライチェーンの確立を目指す。極低温機械・プラント分野の技術とEPC力を結集し、次世代エネルギー社会に向けた実装を加速させる。
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