ビジネス貿易省、貿易救済局(Department for Business and Trade, Trade Remedies Authority ):2025年12月22日
英国政府は12月19日、ブームリフト(高所作業車)について、輸入品が不当廉売(アンチダンピング)や不当な補助金(アンチサブシディー)の恩恵を受けている可能性があるとして、調査を開始した。英国の製造業を守る狙いで、貿易救済庁(Trade Remedies Authority=TRA)が主導する。
ブームリフトは「チェリーピッカー」とも呼ばれ、都市部のクリスマスツリーやイルミネーション設置などに不可欠な機械だ。英国国内では数百人規模の雇用を支え、数百万ポンド規模の経済価値を生み出している。一方で、近年は低価格な輸入品の増加により、国内メーカーへの圧力が強まっているとされる。
調査は、英国メーカーからの申請を受けて開始された。輸入されたブームリフトが市場価格を下回る水準で販売されていないか、または海外政府から不当な支援を受けていないかを検証する。
ビジネス・通商相(Department for Business and Trade)のピーター・カイル氏(Peter Kyle)は次のように述べた。
「クリスマスツリーを持ち上げるにせよ、公正競争の水準を引き上げるにせよ、英国企業には公平な競争環境が必要だ。政府は数十億ポンド規模の貿易協定を締結してきたが、貿易戦略は海外市場の開拓だけでなく、国内産業を守ることも重要である」
また、TRAの共同最高経営責任者(Co-CEO)であるジェシカ・ブレイクリー氏(Jessica Blakely)とカルメン・スアレス氏(Carmen Suarez)は、「英国の経済的利益を守るというTRAの使命に基づき、国内生産者からの申請を受けて迅速に調査を開始した。祝祭シーズンに重要な役割を果たすブームリフトについて、不公正な競争が存在するかどうか、必要な措置を含めて検討する」とコメントした。
アンチダンピングおよびアンチサブシディー調査は、輸入品が適正な市場価格を下回って販売されているか、あるいは不当な政府支援を受けているかを調べるもので、国内産業への悪影響が認められた場合、関税措置などが勧告される可能性がある。
調査は初期段階にあり、結論までには最大12カ月程度を要する見通しだが、英国政府が不公正な貿易慣行から国内製造業を守る姿勢を改めて示した形となる。
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