・安全性と運用効率を両立、銅需要拡大に対応 —
ABB :2025年12月18日

ABBは、スウェーデン最大の露天掘り銅鉱山であるBoliden(ボリデン)のアイティック銅鉱山(Aitik copper mine)において、尾鉱ダム拡張を支える電化・自動化インフラの増強を完了した。水貯蔵・再利用・監視機能を強化し、世界的な銅需要の拡大を背景に、安全かつ効率的な操業拡大を可能にする。
国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)によると、世界の精製銅需要は2035年までに約22%増加する見通し(公表政策シナリオ)。これを受け、Bolidenは同鉱山で「ゼロ・ハーム(無事故)」を掲げる先進的な尾鉱管理を推進しており、今回の投資は長期的な操業レジリエンスと国際基準への適合を両立させる狙いがある。
尾鉱施設の高度化にあたり、Bolidenは安定した電力供給、貯水・流量およびダム挙動のリアルタイム監視、尾鉱管理に関する国際業界基準(GISTM:Global Industry Standard on Tailings Management)への準拠を満たす新システムを必要としていた。ABBは、北スウェーデンの亜寒帯気候に耐える設計の、迅速導入が可能な電化・制御ソリューションを供給した。
提供内容には、モジュール型eハウス、中低圧スイッチギア、変圧器、ポンプ設備向け可変速ドライブ(VSD)、および分散制御システムABB・アビリティ・システム800xA(ABB Ability™ System 800xA®)が含まれる。これにより、エネルギー流の集中監視、予知保全アラート、リアルタイム診断が可能となり、操業条件の変化下でも停止時間を最小化しつつ、ダムの健全性管理を強化する。
ABBのプロセスインダストリーズ事業部・マイニング&マテリアルズのグローバル・ビジネスライン・マネージャーであるビョルン・ヨンソン(Björn Jonsson)氏は、「欧州の銅生産需要の増加に対応するため、将来を見据えたインフラが求められていた。モジュール化により、品質や安全を損なうことなく、短期間で電化・自動化を実現できた」とコメントした。
また、Bolidenのプロジェクトオフィス・マネージャーのピーター・ニーステット(Peter Nystedt)氏は、「アイティック鉱山の将来にとって極めて重要なプロジェクトが、期限と予算の双方を満たして完了したことを評価している」と述べた。
ABBは電化・自動化分野のグローバル技術リーダーとして、持続可能で資源効率の高い産業運営を支援している。140年以上の歴史と世界約11万人の従業員を擁し、株式はスイス証券取引所(SIX Swiss Exchange)およびナスダック・ストックホルム(Nasdaq Stockholm)に上場している。
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