コマツ、北米向け新型油圧ショベル「PC365LC-11」を投入

・電動旋回システムで生産性向上と低燃費を両立

コマツ(Komatsu):2025年12月18日

コマツは12月18日、北米市場向けに新型油圧ショベル「PC365LC-11」を発売した。外観デザインを刷新するとともに、オペレーターキャブの快適性向上や、北米の建設現場に最適化した新たな標準・オプション機能を採用した多機能対応モデルとして展開する。

新型PC365LC-11の最大の特長は、クラス唯一となる電動旋回システムの採用だ。「ブームアップ」パワーアシスト機能を備えた専用電動旋回モーターにより、旋回速度と作業効率を高め、多機能作業におけるサイクルタイムを短縮。最大で約15%の生産性向上を実現するとしている。

システムにはウルトラキャパシタを搭載し、エンジンが超低アイドル状態にある場合でも、加速時に最大70電動馬力相当の電力を供給。必要な瞬間に作業機へ即応する出力を確保する。

超低アイドル運転により燃料消費量は最大20%低減し、連続稼働時間の延長と総所有コスト(TCO)の低減に寄与する。電動旋回に使用する電力は通常運転時に発電・蓄電されるため、外部充電は不要。旋回に油圧を使用しないことで、ブーム、アーム、バケット用シリンダーに油圧出力を集中でき、掘削サイクルの短縮や作業機の応答遅れ低減、スムーズな多機能操作を可能にした。これらの効果により、騒音レベルの低減にもつながっている。

同機は従来機から、①オペレーター体験、②テクノロジー、③アタッチメント対応力の3分野で機能を強化した。

■オペレーターの快適性向上
新開発のプレミアム加熱式エアサスペンションシートを採用。高背レザー仕様と改良したクッション構造、多彩な調整機構により、長時間作業時の疲労を軽減する。新型比例制御ジョイスティックは直感的で人間工学に基づいた操作性を実現し、手首への負担低減に配慮した。

作業を支える先進テクノロジー
カメラシステム「コムビジョン(KomVision)」を標準装備し、機体周囲を俯瞰するリアルタイム映像を提供。作業状況の把握を高め、コマツが掲げる「ゼロ・ハーム(無事故)」の実現を支援する。
また、オプションとして「スマートコンストラクション3Dマシンガイダンス(Smart Construction 3D Machine Guidance)」を工場装着可能。現場オペレーターと事務所管理者が3D設計・地形データにアクセスでき、施工精度の向上や土量管理、作業最適化を図る。

■高効率で柔軟なアタッチメント操作

追加油圧配管ラインを備えた仕様では、ツールコントロールシステムを標準装備。複数アタッチメントごとに流量や目標圧力を設定・保存でき、キャブ内モニターに情報を表示する。迅速なアタッチメント切り替えと高精度な油圧制御により、作業効率と品質を高める。油圧クイックカプラ配管もオプションで工場装着可能で、レーンホフ(Lehnhoff)製クイックカプラなどの装着に対応する。

電動パワートレインの主要部品には、7年または1万5,000時間の譲渡可能な保証を付帯し、長期使用における安心感を高めた。

コマツのプロダクトマネージャーであるマシュー・モーン(Matthew Moen)氏は、「PC365LC-11は革新的な電動パワートレインを活用し、多機能作業における生産性向上と燃料消費低減を両立するために設計した。これらの性能を象徴するコンセプトとして『マルチファンクション・プラス』を打ち出している」と述べている。

■コマツ(Komatsu)について
コマツは、建設・鉱山、フォークリフト、産業機械、林業分野向けに技術、機械、サービスを提供するグローバルメーカー。100年以上にわたり、製造技術と技術革新を通じて顧客価値を創出し、持続可能な社会の実現に取り組んできた。世界各地のサービス・販売ネットワークを通じ、安全性と生産性の向上、設備性能の最適化を支援している。

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