・新燃料エンジン対応を強化、2028年度運転開始へ
カナデビアは12月19日、連結子会社で今治造船との合弁会社である日立造船マリンエンジンが、アンモニアを燃料とする舶用エンジンの生産に向け、本社兼工場(熊本県玉名郡長洲町)で設備投資を実施することを決定したと発表した。総投資額は約25億円で、2028年度中の運転開始を目指す。
同社は今回の設備投資により、アンモニア燃料供給装置のほか、アンモニア受入設備や貯蔵設備などを新たに導入する。アンモニア焚き舶用エンジンは、2030年以降の就航船での普及が見込まれており、将来需要を見据えた生産体制整備となる。
日立造船マリンエンジンは、舶用エンジン分野における世界の主要ライセンサーであるエバーリンス(Everllence SE、ドイツ)およびウィンジーディー(WinGD Ltd.、スイス)のダブルライセンシーで、今回導入するアンモニア燃料供給装置は、両社の基本設計に適合した仕様となる。
同社はこれまで、LNG焚き舶用エンジンに対応してきたほか、2023年にはメタノール焚きエンジンの生産に向けた設備投資を実施しており、新燃料への対応を段階的に進めてきた。今回の投資により、アンモニアを含む複数の次世代燃料に対応可能な生産体制を構築する。
本件は、国土交通省と環境省が連携して進める「令和7年度国土交通省ゼロエミッション船の建造推進事業」にも採択されており、投資額の一部は同事業の補助金を活用する。IMO(国際海事機関)が2050年頃までの温室効果ガス排出実質ゼロを掲げる中、脱炭素化を重視する荷主の動きもあり、新造船市場は活発化している。
日立造船マリンエンジンは今後、舶用エンジンの新燃料対応に向けた生産設備の整備と技術開発を進め、国際海運・造船業界における脱炭素化の動きを供給面から支えていく考えだ。
<プロジェクト概要>
実施会社:日立造船マリンエンジン株式会社(カナデビア65%、今治造船35%出資)
投資額:約25億円
導入場所:日立造船マリンエンジン本社兼工場(熊本県⽟名郡長洲町⼤字有明1番地)
導入設備:アンモニア供給装置、アンモニア貯蔵設備、アンモニア受入設備 ほか
完成予定:2028年3月
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