・最大108万kW規模、2030年以降の発電開始に向け最終投資判断へ前進
住友商事は12月18日、英国で開発を進める洋上風力発電事業「ファイブ・エスチュアリーズ(Five Estuaries)」について、英国政府から開発許認可を取得したと発表した。2030年以降の発電開始を見据えた重要なマイルストンを達成したもので、今後は最終投資決定(FID)に向けた手続きを本格化する。
同案件は、住友商事が事業パートナーとともに出資する事業会社「ファイブ・エスチュアリーズ・オフショア・ウインド・ファーム(Five Estuaries Offshore Wind Farm Limited)」を通じて推進している。12月17日付で、英国エネルギー安全保障・ネットゼロ担当国務長官から正式に開発許認可を取得した。
住友商事は2020年に本案件へ参画し、海域予約権を取得。その後、環境調査を含む各種開発を進め、2024年3月に英国政府へ開発許認可を申請していた。許認可取得を受け、今後は英国政府の制度に基づく差額決済契約(CfD)の獲得を目指し、入札に参加する。CfDを獲得した再生可能エネルギー事業者は、固定価格と市場価格の差額が政府により補填されるため、価格変動リスクを抑えた事業運営が可能となる。
最終投資決定後は建設段階へ移行し、2030年以降の発電開始を目標とする。最大発電設備容量は1,080メガワットで、英国国内約100万世帯分の年間消費電力量に相当する規模となる。
住友商事は、英国を含む欧州で洋上風力発電事業の開発・運営実績を積み重ねてきた。英国では2016年に「ギャロパー(Galloper)」洋上風力発電所の開発に参画し、2018年に完工・操業を開始している。フランスでも2件の洋上風力発電事業を開発中で、いずれも建設段階にある。
さらに、2025年7月には英国政府と事業投資に関する包括的覚書を締結。ギャロパー案件と隣接する本案件も同覚書の対象に含まれており、英国政府との協力体制の下で開発を進めている。住友商事は、欧州で培った洋上風力の知見を活かし、エネルギーソリューション事業を中核とした成長戦略を加速させる方針だ。
<プロジェクト概要>
案件名:ファイブ・エスチュアリーズ(Five Estuaries)
建設予定地:英国沖合約37キロメートルの北海海域(水深22~60メートル、約128平方キロメートル)
方式:着床式洋上風力発電
最大設備容量:1,080メガワット
風車数:最大79基(ブレード先端の最高到達位置370メートル)
電力供給能力:約100万世帯分の年間消費電力量に相当
株主:アールダブリューイー・リニューアブルズUK(RWE Renewables UK Limited)、マッコーリー・アセット・マネジメント(Macquarie Asset Management)管理コンソーシアム、イーエスビー・ツー・UK(ESB II UK Limited)、住友商事
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