・空港制限区域内で国内初のレベル4自動運転
全日本空輸(ANA)と豊田自動織機は12月15日、羽田空港の制限区域内で自動運転レベル4(完全無人運転)による貨物搬送の運用を開始したと発表した。空港制限区域内での完全無人運転の実用化は国内初となる。
導入されたのは豊田自動織機製の自動運転トーイングトラクター(3ATE25)で、初期導入台数は3台。2025年度内にさらに3台を増車する計画だ。同車両は第2ターミナル60・61・65番スポットと東貨物上屋間(片道約1.5km)を走行し、国内線定期便の貨物搬送を担う。
■高度な安全技術と遠隔監視で完全無人化を実現
同車両は空港特有の複雑な環境に対応するため、自己位置推定や障害物検知システムを高性能化・冗長化した。制御技術には路面パターンマッチング(RSPM)、高精度衛星測位(GNSS)、3D LiDAR、磁気誘導を採用。自動運転時の最高速度は15km/h、けん引重量は最大13トンとなっている。
安全面では、異常時に迅速対応できるよう車両周囲の状況を把握する遠隔監視機能を搭載。走行経路上にある2カ所の信号機では、自動運転車両が従道路から主道路へ合流する際、手動運転車両に一時停止を促す仕組みを導入した。
■FMSで複数台を効率管理
運用面では、複数台の効率的なオペレーション実現のため、豊田自動織機が開発した「Fleet Management System(FMS)」を導入。FMSは車両への搬送指示や運行管理に加え、限られたスペースを効率的に使用するための出発・到着レーンの自動割り当て、信号機制御との自動連動を行い、最新情報をタイムリーに一元管理する。
両社は2017年から空港イノベーション課題を共有し、2019年以降、実証実験や試験運用を重ねてきた。国土交通省航空局による航空イノベーション推進の一環として、今後も自動運転トーイングトラクターの導入範囲拡大と増車に向けた取り組みを進める方針だ。
空港業務の持続的発展と省人化が課題となる中、今回の完全無人搬送の実用化は、物流・運搬機械業界における自動運転技術の新たなマイルストーンとなりそうだ。
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