豊田自動織機は12月17日、燃焼時にCO₂を排出しないアンモニアを単一燃料とするエンジンを開発した。ガソリンやLPG（液化石油ガス）に代わる次世代エンジンとして位置付け、デンヨーと協業し、同社製発電機への搭載を前提とした共同開発に着手する。2027年度中の実証開始をめざし、カーボンニュートラル対応製品の実用化を進める。
アンモニアは、肥料や化成品原料として既に広く利用されており、生産・輸送・貯蔵に関する技術やサプライチェーンが確立されている。炭素を含まないため燃焼時にCO₂を排出せず、比較的コスト競争力のある脱炭素燃料として注目されている。一方、単体では燃えにくい性質を持つことから、エンジン燃料としての利用には技術的課題があった。
豊田自動織機はこうした課題に対応するため、約10年前からアンモニアのみで作動するエンジンの研究開発に取り組んできた。難燃性のアンモニアから触媒反応によって可燃性の水素を取り出し、燃焼補助剤として活用する燃料改質技術を採用することで、安定した燃焼を可能にした点が特徴だ。
今回、発電機向けに開発を進めるアンモニアエンジンは、同社製の既存ガスエンジンをベースに改良したもの。大阪ガス、豊田中央研究所と共同で確立し、環境省の実証事業でも検証された基本構造を採用している。今後は、発電用途に求められる性能や信頼性の確保を進めた上で、デンヨー製発電機に搭載し、適合性や運用面の評価を行いながら本格実証へ移行する計画だ。
豊田自動織機は、市場ニーズの調査を並行して進め、カーボンニュートラル実現に向けた有力な選択肢の一つとしてアンモニアエンジンの提供を検討していく。アンモニアの利活用拡大を通じ、発電分野をはじめとする産業用途での環境負荷低減に貢献するエンジン技術の確立をめざす。
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