・新章に向けた明確な成長ビジョン
ヤンマー小型建機EMEA（Yanmar Compact Equipment EMEA、以下、ヤンマーCE） ：2025年12月17日
ヤンマーCEは、同社社長のジョン・ロペス（Jon Lopez）氏が主導する中長期成長戦略を明らかにした。明確なビジョンと戦略集中、将来を見据えた計画により、EMEA（欧州・中東・アフリカ）地域での持続的成長を目指す。
ロペス氏は2024年11月に社長に就任。以降、組織変革を進めながら、長期的な競争力強化に取り組んできた。「今日のリーダーにとって最も重要なのは、組織に明確なビジョンを示し、戦略と方向性、透明性を与えることだ。それが高いパフォーマンスを生むチームと持続的成長につながる」と強調する。
■需要変動を乗り越える経営判断
近年のコンパクト建機市場は大きな変動を経験してきた。2021～2022年のコロナ禍では、インフラ・建設需要の急拡大により、同氏が「シュガーラッシュ」と表現する一時的な需要急増が発生。ヤンマーCEを含む業界全体が過去最高水準の生産を記録した。
現在、市場は持続可能な需要水準へと調整局面にある。ロペス氏は「業界全体が直面している健全なプロセスであり、将来に向けた強固で効率的な基盤づくりにつながる」と述べる。
この環境下でヤンマーCEは、生産体制の最適化を進める。ホイールローダー生産をフランス・サンディジエ（Saint-Dizier）工場に集約し、ドイツ・クライルスハイム（Crailsheim）工場は2025年末に閉鎖する計画だ。「現在の現実に合わせつつ、需要回復時に再び成長できる強靭な体制を整えるための判断」と説明する。
■EMEA全域での成長を明確に掲げる
同氏はヤンマーCEの戦略を「自信と長期的コミットメントに基づく成長戦略」と位置付ける。「EMEA全域で大きく成長する方向性は明確だ。生産資源の最適化と製品ラインアップの進化により、品質、信頼性、顧客体験で新たな基準を打ち立てる」と語る。
就任以降、オペレーションの柔軟性と効率性を高め、顧客に近い体制を維持しながら新たな成長機会を捉える準備を進めてきた。「俊敏性（アジリティ）が鍵。次の市場局面に対応できる、より速く、より柔軟な組織を目指している」とする。
■電動化・デジタル技術を中核に
技術面では、安全性、コネクティビティ、持続可能性が次世代イノベーションの軸になると指摘。電動化、テレマティクス、AIを技術ロードマップの中核に据える。
「すべては安全から始まる。その上で電動化とデータ駆動型技術が次の時代を形作る。ヤンマーは顧客価値創出のため、これら分野に積極投資している」と述べる。ヤンマーCEはすでに3機種のフル電動モデルを展開しており、さらなる電動製品を開発中。新テレマティクス基盤により、稼働率、効率、生産性の向上も図る。
■顧客密着とディーラーネットワーク強化
成長戦略の中心に据えるのが、顧客との距離の近さだ。「顧客のニーズを理解し、迅速に適応することが信頼関係構築の基盤」と強調。グローバルな体制と地域密着の専門性を兼ね備えたディーラーネットワークを強みに、どの地域でも一貫したサービス品質を提供する。
「ディーラーはヤンマーCEの顔。協業、教育、デジタルツールへの投資を通じ、ブランドにふさわしい顧客体験を実現する」と語る。
■人材と企業文化の重視
変革の推進にあたり、同氏は人材と文化を重視する。「個人・組織双方のパフォーマンス文化を築き、成長機会を提供する。その根底にあるのがハナサカ（Hanasaka）という日本の哲学、“人を咲かせる”考え方だ」。
透明性あるコミュニケーションと人材育成を重視し、EMEA全域で戦略理解と信頼を醸成することで、組織のエネルギーを高めるとしている。
■将来展望
ロペス氏は「業界は再調整局面にあり、ヤンマーCEはこの機会を活かして一段と強くなる」と強調。「効率性、持続可能性、顧客密着を高めるための判断を今行い、EMEA地域での長期的な成長基盤を築く」と締めくくった。
■ヤンマー・コンパクト・イクイップメント （ヤンマー建機）概要
ヤンマー・コンパクト・イクイップメント（Yanmar Compact Equipment、ヤンマーCE）は、建設・土工分野向けコンパクト建機の設計・製造・サポートで世界的に展開するメーカー。ミニ・ミディショベル、ホイールローダー、タイヤ式ショベル、コンパクトトラックローダー、クローラキャリアなど幅広い製品群を有する。アジア、欧州、北米に生産拠点を持ち、国際的なディーラーネットワークを展開。世界初のミニショベル市場投入やゼロテールスイング普及など、革新性と信頼性で知られる。スローガンは「Building with you」。
公式サイト：https://www.yanmar.
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