・大流量対応と環境負荷低減を両立、2026年から量産開始
荏原製作所は12月17日、半導体製造装置向けの新型ドライ真空ポンプ「EV-H型」と、プラズマ式排ガス処理装置「ELF型」を開発し、2026年から量産を開始、順次発売すると発表した。両製品は、東京ビッグサイトで開催中の「SEMICON Japan2025」に出展しており、実機およびパネル展示を行っている。
ドライ真空ポンプ「EV-H型」は、半導体デバイスの3次元化や微細化の進展を背景に、ALDやCVDといった成膜プロセスで求められる大流量ガス処理への対応を強化した新モデルである。従来機種で培った小型・省エネルギー性能を維持しつつ、独自の生成物堆積防止機構を採用することで、副生成物に対する耐久性を大幅に向上させた。複雑な形状への均一成膜を支える安定稼働を実現し、先端半導体プロセスへの適用を想定している。
また、故障予知システムや、ポンプ各部のデータ収集によるユーティリティ使用量の可視化など、DXを活用した機能の搭載も計画しており、装置の稼働効率向上や保全高度化につなげる。
一方、プラズマ式排ガス処理装置「ELF型」は、半導体製造で使用される特殊材料ガスの無害化処理を目的とした新製品である。従来主流であった化石燃料を用いた燃焼分解方式に代わり、高性能プラズマリアクターを採用。化石燃料を一切使用せず、電力のみでPFC(CF4、NF₃)などの温室効果ガスを高効率に分解できる点が特長だ。これによりCO2排出を大幅に低減するほか、独自のプラズマリアクター構造によってNOx排出も抑制し、環境負荷の少ない排ガス処理を実現する。
荏原製作所は、これら新製品を通じて、環境対応と高生産性の両立が求められる半導体製造現場の課題解決に貢献するとともに、長期ビジョン「E-Vision2030」で掲げる持続可能な社会の実現を支える技術開発を進めていく方針。