住友重機械工業は12月1日、同社が建設を進めてきたLAES(Liquid Air Energy Storage:液体空気エネルギー貯蔵)商用実証プラントが、12月に運転を開始したと発表した。再生可能エネルギーの変動吸収や電力系統の安定化に対応する長時間蓄エネ技術として、国内初の本格的な実証段階に入った。
同プラントは、再生可能エネルギーを活用して空気を液化して貯蔵し、必要時に気化させて発電する仕組み。既存の発電設備・冷熱設備との親和性の高さに加え、設備構成が比較的シンプルで大規模化が容易な点が特長とされる。
住友重機械工業では、近年需要が高まる長時間蓄エネ(Long Duration Energy Storage:LDES)分野を新たな成長領域と位置付けており、今回の商用実証で運転データを蓄積しながらシステム全体の効率向上やコスト低減を図る。発電出力や応答性、冷熱利用とのシナジー効果なども検証し、商用化に向けた最適化を進める。
同社は今後、国内外の電力会社・需要家との連携を深め、再エネ導入拡大に不可欠な蓄エネソリューションとしてLAESを展開する方針。長時間蓄エネは、再エネ比率が高まる欧州や北米でも市場拡大が見込まれており、国内実証で得られる成果を海外案件にも活用する考えだ。
<プロジェクト概要>
・プロジェクト名:LAES商用実証プラント
・設備:液体空気エネルギー貯蔵システム一式
・目的:長時間蓄エネの商用化に向けた性能検証・運転データ取得
・開始時期:2025年12月運転開始
・特徴:再エネ電力を用いた空気液化、貯蔵、発電を一体化/大規模化が容易