・大型コンバインからスマート防除まで、次世代技術を搭載した製品群を展開
井関農機は12月11日 、2026年度上期の新商品として8品目18型式を発表した。フラッグシップコンバインの刷新から野菜移植機、乗用モーアまで、幅広い製品ラインアップで市場投入を図る。
■30年の集大成、大型コンバインHJシリーズを全面刷新

最上位機種となるHJ6135、HJ7135は、1995年の「フロンティア ジャパンシリーズ」発表以来30年にわたり追求してきたJAPANコンセプト「高精度・高能率・高耐久」の集大成と位置付ける。
主な特長は、新設計キャビンにより従来機比7デシベルの騒音低減を実現し、長時間作業時の疲労を大幅に軽減。また、水冷4気筒137.7馬力ディーゼルエンジンを搭載し、最大作業速度2.1メートル毎秒を実現した。燃料タンクも145リットルに拡大し、1日の連続作業時間を延長している。
注目すべきは農研機構、宮崎大学などとの共同研究による湿材制御機能で、稲わらに夜露等が付着した状態でもロスを抑えた収穫作業が可能となり、作業時間帯の拡大が期待される。希望小売価格は2,341万9千円から。2026年12月発売予定。
■直進アシスト機能を中型コンバインにも展開
FM468Z、FM475Z、FM575Zの3型式には、デファレンシャルGPS機能を活用した直進アシストシステム「オペレスタ」を搭載。条・横モード、往復モード、一方向モードの3つの選択が可能で、倒伏条件下での作業にも対応する。
基準線の自動登録機能により、オペレーターは通常作業を行うだけでAB点を取得でき、緊急時には手動操作が優先される安全設計となっている。希望小売価格は1,410万円から。2026年11月発売予定。
■小型コンバインは安全性と操作性を向上
FK214からFK323まで6型式の小型コンバインは、中山間地域や狭小区画での需要に応える。両手操作方式の手こぎ安全装置を新採用し、作業者の巻き込み防止を徹底。多機能シフトレバーには刈取部昇降スイッチを配置し、レバーから手を離さずに操作が可能となった。価格は268万4千円から。2026年1月発売予定。
■一輪管理機は緊急停止機能を強化
KSX303、KSX453、KSX653の3型式は、工具レスで1輪・2輪の切り替えが可能な分割車輪を採用。新たに緊急停止ワイヤーの位置をハンドルに近づけ、バランスを崩した際の対応を容易にした。セル仕様モデルも設定し、エンジン始動の利便性を高めている。価格は28万500円から。2025年10月から順次発売。
■全自動野菜移植機、スイートコーンとキャベツに対応
PVZ100は、大産地の若手後継者層をターゲットに開発された歩行型全自動移植機。1うね2条のスイートコーン栽培体系に往復2条で対応し、キャベツの1うね60センチ体系にもトレッド調整で適応する。2本爪の苗抜取爪により、根巻きが少ない品種や軟弱苗でもセルトレイから確実に抜き取りが可能だ。価格は178万7,500円。2025年12月発売予定。
乗用型のPVDR200は、植付最高速度0.55メートル毎秒で歩行型の約2倍の高能率作業を実現。植付条間は45センチから66センチまで6パターンで調整可能となり、適応範囲を拡大した。最大28枚の苗積載が可能で、補給回数を削減できる。価格は368万600円から。2025年12月発売予定。
■欧州で実績の乗用モーア、国内市場へ投入
SXG216は、ゴルフ場や空港、高速道路、公園などの芝・草刈り作業向けに、欧州市場で評価を得てきたモデルの国内仕様。13.6馬力のディーゼルエンジンとHSTトランスミッションを搭載し、刈幅40インチ(1,016ミリメートル)のセンター排出方式を採用した。320リットルの大容量コンテナを装備し、連続作業性に優れる。オープン価格で2026年4月発売予定。
■スマート防除オプション、マップ連動機能を実現
参考出品として、乗用管理機JKZ23CY用の防除機オプションが発表された。全農との共同研究により、衛星画像とAI分析による栽培管理支援システム「xarvio FIELD MANAGER」で作成したマップに連動し、生育に応じた可変散布が可能となる。
5段階の生育ゾーンに応じて自動で散布量を調整し、従来の均一散布に比べて農薬使用量の低減が見込める。みどり投資促進税制の適用対象機として申請予定。また、既に散布した領域を判定して自動伸縮制御するオートスライドブーム機能も搭載する。2026年2月発売予定。
同社は今回の新商品群により、大規模生産者から中山間地域、野菜産地、景観整備市場まで、多様な農業現場のニーズに応える体制を強化する。特にスマート農業技術の搭載により、軽労化と生産性向上の両立を図り、担い手農家への貢献を目指す。
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