ダンフォス(Danfoss):2025年12月8日

空調・冷熱機器大手のダンフォス(Danfoss)のドイツ法人であるダンフォス・ゲーエムベーハー(Danfoss GmbH)は12月8日、独サステナビリティ賞2025(German Sustainability Award 2025)を空調・暖房・換気(HVAC)分野で受賞した。審査団は、同社がHVAC産業の中で「環境責任と経済性を両立させる変革の先駆者」として位置づけられる点を高く評価した。
■ 脱炭素・省エネ・資源循環を企業戦略の中核に配置
同社は、脱炭素化、エネルギー効率、資源保全を企業戦略の根幹に据えており、「環境責任と事業成長が両立する」ことを実証してきた点が今回の受賞理由となった。
ダンフォス・ドイツのニルス・ベーレンセン(Niels Behrensen)マネージングディレクターは次のように述べている。
「脱炭素はコストではなく経済的なチャンスです。当社のソリューションによりエネルギー消費と排出量を減らすことで、顧客はコスト面でも競争力でも優位に立つことができます。気候行動と経済成長は相反するものではなく、互いを強化します」
■ 廃熱活用を柱とする脱炭素戦略
同社はデンマークとドイツの全拠点で、電力需要の100%を再生可能エネルギーで賄っているほか、中国の一部主要工場でもグリーン電力に完全移行した。
特に廃熱利用を積極展開しており、生産工程や冷却設備、データセンターで発生する余熱を、ヒートポンプや知能化制御、地域熱供給と組み合わせて低炭素熱源として再利用する。追加エネルギー生成の必要がほぼなく、CO₂排出削減に大きく貢献している。
デンマーク・ノールボー(Nordborg)の本社キャンパスでは、廃熱回収がCO₂中立化に決定的役割を果たしており、同社は2030年までに全事業領域でのCO₂ニュートラル達成、および製品の80%を循環型設計へ移行する方針。
■ ノールボー本社、2022年にCO₂ニュートラルを達成
ノールボー本社は既存建屋を省エネ化し、新棟は高効率仕様で統合。ヒートポンプ、廃熱利用、セクターカップリング、デジタルエネルギー管理などを全面採用し、産業施設における排出削減の実証モデルとして世界的に注目されている。
■ オッフェンバッハとハンブルク ― 都市エネルギー転換の実証拠点に
ドイツ拠点のうち、オッフェンバッハ(Offenbach am Main)のカイザーレイ(Kaiserlei)オフィスビルは、同社製品による高効率ビル技術のショーケースとして運用されている。
また、ハンブルク(Hamburg)・ハーフェンシティ(HafenCity)の拠点は都市部の熱供給網やエネルギー転換技術の開発拠点として位置づけられ、電力会社、港湾局、自治体、産業パートナーなどと連携して都市脱炭素の実証・展開を進めるハブとなっている。
独サステナビリティ賞2025は、具体的なプロジェクトを通じて「気候中立経済への転換」を牽引する企業を表彰するもの。ダンフォスは、脱炭素化、省エネ、経済合理性を組み合わせた持続可能モデルを自社拠点で実践し、産業界の方向性を示す存在として評価された。
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