ダンフォス(Danfoss):2025年12月5日
ダンフォス・パワーソリューションズ(デンマーク・ノルボー)は12月5日、同社油圧ブランド「ビッカース(Vickers by Danfoss)」の最新中圧軸ピストンポンプ「PVMX」シリーズを正式発表した。第1弾として吐出量28cc仕様が提供され、従来シリーズや競合製品を大きく上回る効率・応答性能・制御柔軟性を備えた次世代機として展開する。

新型PVMXは最高連続使用圧力350bar、最高回転数3,800rpmと高性能仕様を確保。サーボモーター駆動用途を前提に設計され、成形機・ダイカスト・プレスなど高速サイクル要求の高い産業機械向けの適用を想定する。また騒音性能では280bar・3,000rpm条件下で72dB(A)を実現し、静粛性が求められる生産設備や研究設備でも利用可能とした。
さらに、ポンプ構造は双方向流れに対応する「2象限モード」を採用。サーボモーターの回転方向変更またはオーバーセンター設計により流量方向を反転でき、複雑な制御弁を不要化する。これにより、高速引き戻し動作や減速制御、圧力解放制御といった高度なモーション制御が可能になる。
同シリーズの特長として、負荷下降や金型引き戻し工程などで発生する逆流動作時に、油圧エネルギーを電力として回生できる点も挙げられる。アクチュエータがポンプを駆動し、モーターを発電機として稼働させることで、電源側へエネルギーを還元。これにより省エネ効果や冷却負荷低減を図る。
従来の定速油圧システムと比較し、用途により最大80%のエネルギー削減が可能としており、省電力・低炭素化を求められる産業設備の更新需要に対応する。
制御仕様は圧力補償、ロードセンシング、2段吐出など複数を選択可能で、ISOおよびSAE準拠の各種マウント仕様、スルードライブ構成にも対応する。OEMによる既存設備の置き換えや設計自由度向上を見込み、シリーズ拡張も予定されている。
ダンフォス・パワーソリューションズの産業用ポンプ&モーター部門 グローバルプロダクトマネジメントディレクター ユアンジン(スタイン)・ワン氏(Yuanjin (Stein) Wang) は次のように述べている。
「小型・高効率・スマート制御を備えるPVMXは、設備占有スペース縮小、冷却設備の低減、搭載モータ容量の削減に貢献する。OEMやシステムメーカーが持続可能性目標を満たしつつ、生産性向上と総所有コスト削減を実現できる製品だ」
産業用油圧におけるサーボモータ駆動方式の普及が加速する中、今回のPVMX投入は省エネ設計・制御統合を目指す加工機・成形機・産業ロボットなどの市場において存在感を高めることになりそうだ。
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