ジェイテクト、花園工場にCNプラント新設、水素バーナー式アルミ溶解保持炉を量産ラインへ導入

ジェイテクトは12月1日、花園工場(愛知県岡崎市)に再生可能エネルギーを活用した水素生成設備「CNプラント」を新設したと発表した。併せて、水素を燃料とする「水素バーナー式アルミ溶解保持炉」を量産工程に導入し、2026年夏頃の稼働開始を予定。工場内で水素の生成から供給、燃焼利用までを完結する体制を整え、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを加速する。

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同社は「環境チャレンジ2050」に基づき、スコープ1・2・3全体でのCO₂排出削減を推進しており、とくに自社生産活動に関連するスコープ1・2については2035年のカーボンニュートラル達成を目標に掲げる。今回の取り組みはその中核施策と位置付けられる。

■水素の地産地消モデルを構築

新設したCNプラントでは、太陽光発電の電力を利用して水電解を行い「グリーン水素」を生成する。生成した水素はガスボンベに充填し、余剰電力は蓄電池に蓄えることでエネルギー効率を最大化。工場内には水素供給配管を敷設し、「つくる・ためる・はこぶ・つかう」の一連のプロセスを工場内で完結する体制を整えた。

外部から水素を輸送する必要がないため、輸送由来のCO₂排出を抑制できる点も特徴となる。

■水素バーナー式アルミ溶解保持炉を導入

今回量産ラインに導入するアルミ溶解保持炉は、水素を燃料とするダイカスト工程用設備。2024年7月~2025年2月にかけ、同社東刈谷事業場で実証試験を行い、溶湯品質や生産性を検証した。

水素火炎は都市ガスに比べ燃焼範囲が狭く溶解ムラが発生したため、炉内構造をテーパー形状に変更する対策を実施。その結果、従来炉と同等品質を確認している。同社では量産運用を通じてCO₂排出抑制効果を検証していく。

■水素活用領域を製造現場以外へ拡大

ジェイテクトは水素活用を生産工程以外にも展開している。

2024年には本社敷地内に水素実証設備「CNラボ」を設置。さらに2025年7月、本社レストランに水素燃焼調理器「水素グリラー実証機」を導入し、同施設で生成した水素を活用するモデル構築を進めている。

■今後の展望

同社は花園工場でのモデルを他工場へ横展開し、鋳造工程の脱炭素化を加速する考え。さらには2030年環境行動計画を軸に、「カーボンニュートラル」「サーキュラーエコノミー」「ネイチャーポジティブ」実現に向けた取り組みを続けるとした。

同社では「地産地消型の水素利用モデルの構築は、日本の製造業における新たなモデルケースとなり得る」としており、今後の量産効果検証と展開動向に注目が集まる。

ニュースリリース