BHP&リオ・ティント&(Rio Tinto):2025年12月5日

オーストラリア西部鉄鉱石地帯ピルバラで、鉱山機械の電動化が新たな段階に入った。BHPとリオ・ティントは12月5日、キャタピラー(Caterpillar)製のバッテリー式運搬ダンプ「793 XE アーリーラーナー(793 XE Early Learner)」2台が、BHP傘下のジンブルバー(Jimblebar)鉱山に到着し、現地試験を開始したと発表した。オーストラリア国内で同機が導入されるのは今回が初となる。
今回導入された2台は、BHP、リオ・ティント、キャタピラーの業界初の共同開発枠組みに基づくもので、大型鉱山運搬車の電動化に向けた重要なステップと位置づけられている。従来のディーゼル車両と同等の生産性を維持しながら、排気ガスゼロ運転を目指す。
試験では、大規模鉄鉱石採掘現場における電動化技術の商業的実行性を検証する。車両性能のみならず、充電インフラ、電力供給体制、運用体制、サプライチェーンなど、将来の電動鉱山構築に必要な要素検証が進められる。
両社は、電動化の実用化には技術開発の進展と現場実証が不可欠としており、ウエストラック(WesTrac)の支援のもと、将来的なフリート転換に向けた検証を継続する方針。共同試験終了後、各社が独自にスケールアップに向けた判断を行う予定。
■コメント
BHP西豪鉄鉱石部門プレジデント、ティム・デイ(Tim Day)氏:
「ピルバラでバッテリー式運搬車の稼働が始まったことは、脱炭素化の実現に向けた大きな前進だ。ディーゼルを置き換えるということは燃料を変えるだけではなく、鉱山運営そのものの再設計を意味する。今回の試験ではバッテリー、電源供給、充電方式、電力管理、サプライチェーンまで総合的な検証を行う」
リオ・ティント ピルバラ鉱山部門マネージングディレクター、アンドリュー・ウィルソン(Andrew Wilson)氏:
「当社18鉱山の機械を脱炭素化することは大きな挑戦だ。単独企業でこの課題を解決することは不可能であり、業界全体で取り組む必要がある。今回の共同試験は電動化に向けた現実的な前進となる」
キャタピラー リソースインダストリーズ担当シニアバイスプレジデント、マーク・キャメロン(Marc Cameron)氏:
「今回の納入は、次世代鉱山技術への重要な節目だ。顧客企業とともに実証を重ねることで、プロダクト開発を加速し、現場ニーズに即したソリューションに進化させていく」
今回の試験は、両社が掲げる2050年までの運用段階温室効果ガス排出実質ゼロ達成に向けた取り組みの一環であり、電動ダンプの本格導入の実現性を見極める重要な位置づけとなる。
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