・EV向け高速回転軸受の省エネルギー化技術に適用、設計検討時間を短縮
NTNは12月4日、オイル潤滑下で高速回転する玉軸受のトルクを従来より高精度に予測できる新しい計算手法を開発したと発表した。従来比で最大50%の精度向上を実現し、EV(電気自動車)およびHEV(ハイブリッド車)の省エネルギー化に寄与する技術として展開する。
軸受トルクはEV駆動系を含む各種機械装置の効率や発熱、動力損失に直結する指標で、メーカー側で開発した計算プログラムを用いて予測されている。近年、自動車産業では高回転条件に耐える軸受が求められており、高速領域でも精度を落とさない計算手法の開発が課題となっていた。
今回NTNが開発した手法は、玉軸受のボールが転動する軌道面に着目し、ボールと軌道面の「接触域」と「非接触域」を分けて解析する点が特徴。従来は接触域のみを計算対象としていたが、油膜挙動や流体力が影響する非接触域も含めたことで、トルク増加メカニズムの可視化に成功した。
同社はすでに社内の計算プログラムに本手法を組み込み、幅広い条件に適用可能な計算式の整備を完了した。これにより、EV用軸受の仕様提案における検討工数の削減、設計期間の短縮につながるとしている。
技術適用範囲は設計支援にとどまらず、今後の製品開発にも活用される予定。同社では、保持器や潤滑油など軸受構成要素のトルク低減研究に展開し、将来の低トルク軸受開発を加速する。
NTNは「MBD(モデルベース開発)を含むデジタル開発手法の高度化を通じ、省エネルギー化が進む車両・産業市場の要求に応えていく」としている。