バルメット、ポーランドのフォータム熱電併給プラント脱炭素化に中核参画

・石炭ボイラーをバイオマス燃料へ転換、2027年完了予定

バルメット(Valmet):2025年12月3日

フィンランドのバルメットは12月、ポーランド・ザブジェ(Zabrze)に所在するフォータム(Fortum)熱電併給(CHP)プラント向けに燃料転換工事を受注した。今回のプロジェクトでは、既設の石炭焚きボイラー設備をバイオマス燃料に対応させる改造を実施する。

フォータムによるザブジェCHPプラント改修事業は総額8,500万ユーロ規模で、バルメットの納入範囲には、主要設備であるボイラーアイランドの石炭燃料システムからバイオマス燃料システムへの転換が含まれる。同プラントは現在、石炭60%・廃棄物燃料(RDF)40%の混焼を行っているが、改修後は地元供給者から調達する認証森林バイオマスへ全面置き換えられる計画。

フォータム・インベストメント実行部門ディレクターのカミラ・ジブルラ=プルタ(Kamila Zybura-Pluta)氏は、次のようにコメントした。

「フォータムは2027年末までに全事業から石炭利用を撤廃する方針です。本プロジェクトにより、当社の石炭由来発電能力は0.1GW削減され、年間約28万トンのCO₂排出削減を見込んでいます。地域社会に配慮した投資であり、ザブジェでは大気環境改善と生活コストの安定化、住民の生活品質向上を目指します。」

一方、バルメット エネルギー&サーキュラリティ部門改造技術担当シニアマネージャーのヨウニ・コスキネン(Jouni Koskinen)氏は次のように述べた。

「バルメットは既存石炭ボイラーのバイオマス転換分野で豊富な実績を有しており、今回フォータムが当社の技術力を信頼してくれたことを嬉しく思います。既設インフラとの統合はプロジェクト毎に条件が異なりますが、経験に基づき確実な成果を提供します。」

受注はバルメットの2025年第4四半期受注計上分に含まれる。契約金額は非開示。改造工事後の設備は2027年第4四半期の運転開始を予定している。

■ 納入内容の概要
• 循環流動層(CFB)ボイラーの燃料転換(石炭→バイオマス)
• バイオマスおよびRDF燃料供給システム新設
• 腐食・付着対策の添加剤供給設備
• 低負荷RDF燃焼時の温度維持用油焚きバーナー

■ 企業概要

フォータム(Fortum)
北欧を拠点とするエネルギー企業。本社はフィンランド・エスポー。欧州全域で発電、地域熱供給、冷熱供給およびエネルギーサービスを展開。2024年売上高約58億ユーロ、従業員数約4,600人。ポーランドでは高効率CHP発電・熱供給、ガス・電力小売を展開し、ザブジェおよびチェンストホヴァの2拠点でCHP施設を運営。

バルメット(Valmet)
製紙・エネルギー・プロセス産業向け技術・設備・自動化・サービスを提供するグローバル企業。2024年売上高約54億ユーロ。世界約40カ国に拠点を持ち、従業員数は約1万9,000人。本社所在地はフィンランド・エスポー。株式はナスダック・ヘルシンキに上場。

本プロジェクトは、ポーランド国内における脱炭素化・再生可能燃料転換の象徴的ケースとして注目されている。

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