・リズミックの解析技術と自社ソリューション連携めざす
日立建機は12月2日、カナダのリズミック・ソリューションズ(Rithmik Solutions Ltd.)に300万米ドル(約4億2,600万円)を出資したと発表した。AI解析技術を活用した鉱山向けソリューションの強化を図り、鉱山現場の生産性向上と環境負荷低減をめざす。
リズミックは2017年設立のスタートアップ企業で、AIを活用した鉱山機械のアセットヘルス管理と稼働データ分析に強みを持つ。従業員数は約10人ながら、燃費低減、エンジン診断、オペレーション最適化を統合したソリューションを展開している。
同社が2024年8月から1年間実施した実証試験では、ダンプトラック40台と超大型油圧ショベル6台の稼働データを分析。設計基準値とリアルタイムデータを比較することで、機械の異常兆候の早期検知や予防措置が可能となり、ダウンタイムや燃料消費の抑制効果が確認された。
日立建機は今年4月から「LANDCROS Connect Insight(ランドクロス コネクト インサイト)」の提供を開始しており、ほぼリアルタイムの稼働データ解析を通じて鉱山運営の効率化を支援している。今後はリズミックのAI解析技術との連携を検討し、稼働データのより高度な分析をめざす方針。
従来の設計値に基づく分析から、AIが機械の稼働状況を学習し、機械ごとに最適な基準値を自動設定する手法へと進化させることで、アセットヘルスと運用管理の精度向上を図る。
出資金は継続的な技術開発、顧客サポート力強化、マーケティング活動などに充てられる予定。日立建機マイニングビジネスユニット長の福西栄治執行役常務は「パートナーとオープンなデジタルプラットフォームを構築していくための重要な一歩」とコメントしている。
なお、日立建機は2027年4月1日付で商号を「ランドクロス」に、コーポレートブランドを「LANDCROS」に変更する予定。2024年度の連結売上収益は1兆3,713億円、海外売上収益比率は84%となっている。
画像:AI解析技術を活用した鉱山向けソリューションの展開イメージ
<リズミック概要>
代表者:CEO: Ross Barichievy
本社所在地:カナダ ケベック州モントリオール
設立:2017年
事業内容:AIを活用した鉱山機械の最適化に特化した分析ソリューションを提供。ソリューションは鉱山機械の稼働率向上、メンテナンスコスト削減、燃料消費や温室効果ガス排出の低減に寄与。燃費低減・エンジン診断・オペレーション最適化を統合したソリューションを有する分析系スタートアップ企業。
従業員数:10人(2025年11月時点)
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