・那覇空港で多言語案内サービス開始、観光DX推進へ
・空港・商業施設向けソリューション展開を加速
川崎重工業は11月20日、Kotozna(東京都港区)と共同で、生成AI技術と屋内外測位システムを組み合わせた多言語観光案内サービスを那覇空港で開始したと発表した。同社が提供する屋内外空間デジタルソリューション「mapxus Driven by Kawasaki」とKotoznaの生成AIチャットボットプラットフォーム「Kotozna ConcierGAI」を連携させたもので、デジタルサイネージを通じて訪日外国人を含む旅行者に50以上の言語で施設案内を提供する。
川崎重工の「mapxus」は、GPS信号が届きにくい屋内空間でも高精度な位置情報と地図情報を提供できる測位システム。ビーコンなどの専用機器を新設する必要がなく、既存のWi-Fi環境のみで導入可能なため、施設側の初期投資を抑えられる点が特徴だ。すでに国内の大型ショッピングモール、レジャー施設、国際空港などで採用実績を持つ。
今回のサービスでは、デジタルサイネージ上のAIアバターが旅行者からの音声入力を受け付け、目的地までのルートを案内。サイネージに表示されるQRコードをスマートフォンで読み取ることで、専用アプリをインストールせずに経路案内が受けられる仕組みを構築した。さらに利用者の好みや趣味に基づいた施設提案機能も搭載している。
本事業は、観光庁の「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」として沖縄県が実施するもので、採択事業者の沖縄JTB(那覇市、桂原耕一社長)から両社が受託した。案内業務の省人化とインバウンド対応強化を同時に実現できるソリューションとして、今後他の空港や商業施設への展開も見込まれる。
川崎重工は造船・航空機などの重工業を主力としながら、近年はロボティクスやデジタルソリューション分野での事業拡大を進めている。屋内測位技術は同社の新規事業の柱の一つと位置づけられており、今回のような他社技術との協業を通じてサービス領域の拡大を図る方針。
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