・半導体需要の本格回復遅れ、原価率上昇で営業減益
■地政学リスクで需要環境は依然不透明
主力の自動制御機器の需要動向を見ると、半導体・電機関連では中華圏で家電、液晶など電機関連の需要が増加したものの、日本・北米・韓国の半導体関連需要は本格的な回復には至らなかった。
自動車関連では、中華圏のEV(電気自動車)関連需要が回復したが、他地域では米国関税の影響もあり設備投資の先送りが続いた。工作機械関連は中華圏で堅調だったが、他地域では調整局面が継続。医療機器関連、食品機械関連などは省人化・自動化需要があるものの伸び悩んだ。
■原価率上昇と減価償却費増が収益圧迫
収益面では、原価率の上昇と減価償却費の増加が営業利益の主な押し下げ要因となった。経常利益は同3.5%増の1,079億1,600万円となり、為替差益の増加が寄与した形だ。
一方で同社は、製品供給能力の拡大とBCP(事業継続計画)に基づく生産の複線化、開発能力の強化を目的とした積極的な設備投資を進めるとともに、直販営業スタッフの増員、代理店営業の強化、製品・顧客の多角化推進などの施策を継続して実行している。
■通期予想を大幅下方修正
2026年3月期の通期連結業績予想については、直近の受注推移と為替相場の動向を踏まえ、5月14日公表の予想から下方修正した。
売上高は8,160億円(前回予想比4.0%減、前期比3.0%増)、営業利益は1,830億円(同14.9%減、同3.8%減)、経常利益は2,090億円(同9.9%減、同0.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,530億円(同8.4%減、同2.1%減)に修正した。
通期予想の前提為替レートは1米ドル147円10銭(前回141円)、1ユーロ172円(同157円)、1人民元20円60銭(同19円50銭)としている。
同社では下期も需要環境の本格的な改善には時間を要するとみており、今後の業績動向が注目される。