コマツ、小川社長と次期社長の今吉専務が会見

 コマツは1月31日、東京都内で新旧社長の会見を行った。以下、挨拶より抜粋。

■小川啓之社長の挨拶
 本日の取締役会で今年4月以降の人事について決議を行いました。私は3月31日で社長を退きまして、後任として今吉琢也氏が社長兼CEOに就任いたします。 6年間、長い間ありがとうございました。私は取締役会長として引き続きコマツの経営に関与していくことになります。
 コマツでは、会長はコーポレートガバナンスを効かせることが役割となっておりまして、今後は取締役会議長として執行部をガイドしていくということが重要になるかというようにに考えております。
 今年で私が社長に就任して6年が経過しました。現行の中期経営計画も本年3月末までとなりますので、1つの節目の時期を迎えるということになります。
 新しい事業年度が始まる4月1日に合わせて新たな体制でスタートし、今吉氏が中心になって現在活動しております次の中期経営計画のもとで、さらなる事業の成長を目指してもらうということにいたしました。
 この6年間、新型コロナによるパンデミック、あるいはコマツの100周年、ロシアのウクライナ侵攻、中近東における紛争、足元では第2次トランプ政権ということで様々なことがありましたけれども、コンプライアンスをベースに中期経営計画の成長戦略を推進したこと、またリスクへの対応により外部環境の影響を受けにくい体質を強化してきたことが成果として現れてきたのではないかというように考えています。
 結果として、業績は円安という風もありましたけれども、売上高、営業利益とも過去最高を更新することができ、経営目標も概ね達成したのではないかというように考えております。
 後任の今吉氏ですけれども、クレバーで、沈着冷静で大局的にものを見る力に優れており、現場からの信頼も厚く、また伝統市場と戦略市場両方での豊富な経験と知見を踏まえ、直近では中国総代表として中国事業の構造改革をリードしてこられました。2019年に発表した 前の中期経営計画の策定、これにも関わっていただき、今後も一貫性を持ってコマツをリードしていってくれると思いますし、コマツにはコマツウェイというものがあります。これをベースにして従業員が価値観を共有し、また各部門も守るべき方針として持っておりますので、 経営の軸が振れることはないというように考えております。今吉氏は、私とはバックグラウンドが全く異なりますけれども、また私とは全く違った視点でコマツをさらに成長、発展させてくれることを期待しております。私から以上です。ありがとうございました。

■今吉琢也専務の挨拶
 今吉でございます。よろしくお願いいたします。最初に、私の略歴ですけれども、1987年の入社になります。石川県の粟津工場経理課でキャリアをスタートいたしまして、主に経営管理、財務、経理方面を担当してまいりました。
 この間、海外駐在としてアメリカに1回、中国に2回、累計で12年間キャリアがありますので、 全体としては約3分の1が海外ということになるかと思います。
いま話がありました通り、昨年3月までの3年間は中国総代表として上海に駐在しておりました。需要が急激に落ちているなか、合弁会社の独資化であったり会社の統廃合等、構造改革に取り組んでまいりました。 昨年4月からは、次期中期経営計画策定担当としてその取りまとめを行ってきております。
 現在のコマツを取り巻く環境についての認識ですけれども、大きく2つあると思っております。1つは、いわゆるVUCAですね。「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」、そのVUCAの世界が今後ますます広がってるという認識でございます。
 これまで基本的に自由貿易を前提にグローバルオペレーションを展開した企業にとっては、大きな試練の時代だという認識です。
コマツの場合、建機の新車需要というのは、ご承知の通り、色々な経済需要に変動、影響を受けて、循環的な変動が非常に大きい業界なんですけれども、コマツはこれまでそうした変動に対する体制って言うんですかね、強みを磨いてきたわけです。けれども、今後ますます政治経済の変動に備えて、 そのレジリエンスを強化するべきだと思っております。
 もう1点は、やはり環境技術の大きな変化が課題だと思っております。カーボンニュートラルに関しては、電動化を含めたディーゼルの代替動力源の変更っていうのはいずれにしても進んでいくと思っております。
 また、AIを含めた自動化、遠隔化制御等、その他の技術もますます早いスピードです、進んでいくかと思いますので、コマツとしてはその方面の開発、商品の導入に力を入れるべきだと思っております。コマツは過去からAHS、スマートコンストラクション等、他社に先駆けたイノベーションを取り組んでまいりました。今後もそういった方向に注力していきたいと思っています。
 それから、 会社の運営としては、これも早い時期からコマツはガバナンスの改革に取り組んできたと思っております。私自身も歴代の社長の下で色々な取り組みを間近に見てきましたので、今後も振れることなく経営していきたいと思っております。
 それから、4年前になりますが、コマツは100周年を機にコマツの存在意義、価値観というのを整理いたしました。これを新たに定めたというよりは、コマツの全社員の共通認識を言語化したものだと思っております。
 今後とも、この存在意義、価値観を共有しながら、将来のコマツの発展に努力していきたいと思っております。私からは以上でございます。