日立建機、24年4~12月期売上収益は1.7%減の9,913億円、通期予想は1兆 3,500億円(4.0%減)は変えず

 日立建機が1月27日に発表した2025年3月期第3四半期累計(4〜12月)の売上収益は9,912億7千7百万円(対前年度増減率△1.7%)とわずかに減収となった。利益項目については、原価低減や販売価格引き上げの継続、為替円安影響が利益の下支えとなった一方、市況悪化に伴う物量の減少や地域構成差の悪化、ならびに研究開発費・人件費等の成長投資に伴う間接費の増加により、調整後営業利益は、1,044億8千8百万円(同△15.0%)と減益となった。また、親会社株主に帰属する四半期利益については、支払利息の増加等により、618億7千8百万円(同△12.9%)となった。一方で、運転資本縮減により、営業キャッシュフロー・フリーキャッシュフローは前年同期比で増加している。
 なお、2024年3月期第4四半期連結会計期間より、IFRS会計基準に即して、スペシャライズド・パーツ・サービスビジネスセグメントにおけるノンコア事業を非継続事業に分類している。これにより、第3四半期連結累計期間及び前第3四半期連結累計期間について、売上収益、調整後営業利益、営業利益、税引前四半期利益は非継続事業を除いた継続事業の金額を表示し、四半期利益及び親会社株主に帰属する四半期利益は、継続事業及び非継続事業の合算を表示している。

 日立建機2025年3月期第3四半期データ

 日立建機グループは、2026年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画「BUILDING THE FUTURE 2025 未来を創れ」のもと、①顧客に寄り添う革新的ソリューションの提供、②バリューチェーン事業の拡充、③米州事業の拡大、④人・企業力の強化、の4つの経営戦略を掲げて持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでいる。
 第3四半期連結累計期間(2024年4~12月)における油圧ショベル需要は、金利の高止まり等の影響を受けて北米や西欧を中心に減少した。
 マイニング需要は、アジア向け小型のマイニングショベルは厳しい状況が続いたものの、超大型機械については比較的堅調に推移した。
 米州事業においては、代理店在庫の積み上げが一服したことを背景に、独自展開分の売上収益は、大きく伸長した前年同期比で減少した。しかしながら、最終顧客向けのリテール販売に基づく北米市場シェアは前年同期比で増加。また新車需要が弱含む中、底堅いメンテナンス需要を背景に、注力してきた部品サービス事業は堅調に推移している。

■セグメントの業績
① 建設機械ビジネス
 第3四半期連結累計期間における売上収益は9,002億4千6百万円(同△1.7%)、調整後営業利益は943億3千1百万円(同△15.6%)となった。
 コンストラクション向け・マイニング向けともに、部品サービスの提供を中心としたバリューチェーン事業は好調に推移したが、北米・欧州などでの物量減少に加え、研究開発費や人件費等が増加したこと等により、減収減益となった。

② スペシャライズド・パーツ・サービスビジネス
 同事業は、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken Pty Limited及びその子会社と、サービスソリューションを提供するH-E Parts International LLC及びその子会社で構成されている。
 第3四半期連結累計期間における売上収益は、978億7百万円(同1.0%)だが、セグメント間調整後の売上収益は減収となっている。調整後営業利益は、減収影響に加えて人件費が増加したこと等により、101億5千7百万円(同△9.1%)と減益になった。

 なお、上記、①②の売上収益については、セグメント間調整前の数値。

■今後の見通し
 2025年3月期通期の油圧ショベル需要は、依然として金利高が続く北米や西欧を中心に減少すると見込む。
 一方で、足元では東南アジアやインドで需要が持ち直しつつある。中国ではこれまで続いてきた需要減が底打ちし、前年度比でわずかながら増加する見込み。北米や西欧で厳しい需要環境が続いているが、新興国での回復を織り込み、世界全体の油圧ショベル需要は約20.6万台(前年度比△8%)と、前回10月公表時点の見通しから約7千台上方修正した。
 マイニング製品の通期の需要は、一般炭価格が落ち着き、中小鉱山の投資意欲の低下が見込まれることなどから、アジア向け小型のマイニングショベルを中心に減少すると見込み、前回見通しを据え置く。
 一方で、堅調な稼働台数等に伴うメンテナンス需要は引き続き堅調に推移するものと見込む。新車需要の減少やインフレ影響による資材費増加など厳しい事業環境は継続しているが、日立建機においては、原価低減及び販売価格の引き上げ等の推進に加え、部品サービスを中心としたバリューチェーン事業が堅調で収益を下支えしている。
 これらを勘案し、2025年3月期連結業績予想(2024年4月1日~2025年3月31日) は前年同期比で減収減益を見込むが、売上収益・調整後営業利益については、前回10月公表時点の見通しから変更はない。
 一方、同四半期において、その他営業収支の改善を織り込んだことから、営業利益から親会社
株主に帰属する当期利益は、前回10月公表時点の見通しから増益となる。

 日立建機としては、今後も注力している米州独自事業の展開を推進するとともに、マイニング事業及びバリューチェーン事業のさらなる成長を図ることにより、引き続き新車需要に左右されにくい安定的な収益体質への転換を進めていく。

 2025年3月期連結業績予想(2024年4月〜25年3月) は、売上収益1兆3,500億円(前期比4.0%減)、調整後営業利益1,510億円(同10.1%減)、税引前当期利益1,350億円(同15.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益840億円(同10.0%減)の見通し。

 業績見通しの前提となる第4四半期の為替レートについては、前回見通しから変更していない。(米ドル141円、ユーロ155円、人民元19.8円、豪ドル96円)

 日立建機の2025年3月期第3四半期決算短信
 決算説明会資料