不二越が1月14日に発表した2024年11月期連結累計期間(2023年12月〜24年11月)の売上高は、米州の産業機械・市販分野で需要が拡大したが、中国および欧州の建設機械・産業機械分野などでの需要減少や国内の一部自動車メーカーでの減産を受け、2,398億92百万円(前期比9.6%減)、このうち、国内売上高は1,174億49百万円(同6.3%減)、海外売上高は1,224億43百万円(同12.6%減)となった。利益面は、原材料価格上昇分の販売価格への転嫁や、生産ラインの自動化・合理化、調達コストダウンにとり組み、為替も円安で推移したが、ロボット・油圧機器などでの操業度の悪化が大きく影響し、営業利益は66億36百万円(同44.1%減)、経常利益は42億36百万円(同61.6%減)となった。また、資本効率の向上をはかるために政策保有株式を縮減し、投資有価証券売却益として36億64百万円を特別利益に計上、一方で余剰設備や人員の適正化を推し進め、構造改革費用として42億2百万円を特別損失に計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は33億51百万円(同48.2%減)となった。
2024年11月期における不二越グループをとり巻く環境は、自動車分野を含め経済活動の緩やかな回復が進み、日本・米州をはじめとする先進国経済の持ち直しが見られた。一方で、ウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化、米国の保護主義政策に伴う影響など、先行き不透明な状況が継続していることに加え、中国・欧州経済の低迷など、一部で事業環境の厳しさが増している。
このような状況のもと、不二越グループは、中長期的な脱炭素・EV化をはじめとする産業構造の大変革を見据え、工具、工作機械、ロボット、ベアリング、油圧機器、そして特殊鋼事業をあわせ持つ総合機械メーカーとしての特長を活かし、ユーザーのものづくりに寄与する新商品の開発や技術提案などにより、受注・売上の拡大にとり組んだ。また、利益の改善に向けて、設備や人員の適正化、標準ベアリングの集約生産、さらには全部門を対象とした合理化、内製拡大など、事業全般の構造改革をより一層推進した。
■セグメントの業績
機械工具事業では、中国自動車メーカーの設備投資計画の見直しに伴うロボット需要の減少や、中国の産業機械分野での工具・工作機械の需要減少により、売上高は775億円(前期比9.3%減)となり、営業利益は操業度の悪化な
どにより、38億79百万円(同39.4%減)となった。
その他の事業では、国内での特殊鋼需要の減少を受け、売上高は159億93百万円(同3.1%減)となった。一方、営業利益は、原材料価格上昇分の販売価格への転嫁などにより、10億70百万円(同10.1%増)となった。
■ 今後の見通し
次期の事業環境については、不二越の主要な事業領域である自動車分野では、新興EVメーカーの台頭や、自動車メーカーの再編が進み、産業機械・建設機械・市販分野では、中国・欧州経済の低迷が長期化して需要回復が遅れ、また、原材料価格の高止まりが続くなど、総じて先行きが見通しにくい状況にある。さらに、カーボンニュートラルに向けて、自動車分野においては、EV化に向けたとり組みが着実に進んでおり、産業機械分野を含め、ものづくりのDX・AIによる商品開発や生産性向上、SDGsをはじめとした社会・環境問題への対応の要求などが高まっている。
不二越は、このような産業構造の大変革に対し、ロボットをはじめ多彩な事業・技術・生産ノウハウを有する独自性を活かし、新しいビジネスチャンスを創出していく。とくに海外市場に向けては、営業・サービス、製造・調達、研究開発の各面で体質を強化して、市場の動き・ニーズを捉え、全部門の技術を連携・結集した競争力のある商品・サービスを拡販していく。さらに、需要の変化に対応する世界の工場再編や、自動化・合理化により生産性を高め、業績の一層の向上に努めていく。そして、事業活動を通して、環境・社会・ガバナンスなどの課題にとり組み、持続的な企業成長を目指していく。
2025年11月期の連結業績予想は、売上高2,430億円(前期比1.3%増)、営業利益 86億円(同29.6%増)、経常利益66億円(同55.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益40億円(同19.3%増) を見込んでいる。
なお、為替レートは1USドル145円、1ユーロ155円、1中国元20円を前提としている。
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