謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年、世界経済は持ち直しの動きが継続しましたが、依然としてウクライナや中東などの国際緊張が続くほか、経済政策や外交・安全保障など日本や米国、また韓国など各国新政権による政策動向が注視されており、企業を取り巻く環境は不透明感を増しています。
日本においても、令和6年能登半島地震が発生し、防災やBCP対策への意識が高まったほか、労働力不足や物価高への対策、子育て支援をはじめとする社会保障や環境問題などが依然として課題となっています。
サステナブル(持続可能)な社会に向け、NTNはベアリング(軸受)メーカーとして、お客さまの機械を止めない技術を極めることで貢献します。極限まで摩擦を減らし、省エネルギー化を図る軸受技術を活用することで、環境負荷が低く、長く使える商品の開発を進めます。さらに、AIやセンサーを活用した状態監視などのサービス・ソリューションを通じて、適切な機械のメンテナンスに貢献し、サステナブルな設備の実現につなげます。
当社は昨年より新たに中期経営計画「DRIVE NTN100」Finalをスタートしました。「NTN再生」の完遂に向けて、2026年度までの3年間で改革の仕上げに取り組みます。組織は、事業軸から商品軸へと体制を変更し、構造改革も加速させ、稼ぐ力の向上を目指します。事業活動や経営基盤を強化するため特に下記施策に注力いたします。
・アフターマーケットビジネスの拡大
昨年4月に組織変更を行い、軸受事業を集約いたしました。OEMとアフターマーケットが一体となることで、生産能力を最適配分するほか、売れ筋在庫やラインアップの拡充に引き続き取り組み、商品供給力を強化します。
また、軸受に関するエキスパートとして、長年にわたり培ってきた技術と実績を基に、商品提供から状態監視、診断・分析サービス、メンテナンス提案や技術講習、補修品提供まで、お客さまにおける軸受ライフサイクルマネジメントをサポートする体制を構築します。困りごとに寄り添い、軸受に関するあらゆるソリューションを提供することで、信頼性やブランド力の向上に取り組みます。
・OEMビジネスの競争力強化
キャッシュ・フロー重視の事業運営と、市場ニーズに対応する価値を提供し、競争力強化を図ります。自動車のEV・電動化に対応し、「高速回転」「耐電食」「耐クリープ」機能を備えた高機能な軸受商品や、世界最高水準の高効率・低振動を実現したドライブシャフトを開発しました。
また、生産性向上や省エネルギー化を背景にニーズが高まる工作機械主軸用グリース潤滑軸受向けに、高速回転を可能とする「高速・長寿命グリース」などを開発し、市場への提案を進めています。さらに昨年公表した業界最高水準の高負荷容量化を可能にする特殊熱処理技術「HA-C」は、e-Axleをはじめとする自動車向け駆動装置のみならず、さまざまな産業機械の小型・軽量化および省エネルギー化に貢献する技術として、今後各分野に提案を進めます。
設計や品質工程を見直すエンジニアリングチェーン・マネジメント(ECM)と、新たな調達先の開拓や生産整流化、製造現場のデジタル化などによるサプライチェーン・マネジメント(SCM)の両側面から、バリューチェーン改革を推進し、コスト低減や生産性向上に取り組みます。
・ESG経営の進化
持続的に成長するためESG経営を進化させます。中でも人材戦略は「豊かな人づくり」を基本とし、人材獲得と組織風土の醸成の両面から取り組みを進めます。昨年には、仕事基準の管理職人事制度を導入しました。経営戦略に求められる専門能力の向上を図るとともに、従業員一人ひとりのキャリア形成支援策を拡充し、多様な人材の獲得と育成に取り組みます。また、職場改善活動や経営陣によるタウンホールミーティングの継続を通じて従業員のエンゲージメントの向上を図り、挑戦し、やりきる組織風土を醸成します。
中期経営計画2年目となる本年は、3か年の最終目標の達成に向けて、事業構造や経営基盤の変革を加速させ、従業員全員で企業価値向上に取り組む組織風土を培います。
最後になりましたが、皆さまのご健勝を祈念し、私の年頭のご挨拶とさせていただきます。
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