日本経済団体連合会:2025年1月1日
■公正・公平で持続可能な社会を目指して
謹んで新年のお慶びを申し上げる。
はじめに、昨年、能登半島における元日の地震ならびに9月の記録的豪雨により亡くなられた方々に心から哀悼の誠をささげるとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げる。昨年4月、そして11月に経団連幹部と共に被災地を訪問し、能登の復旧・復興への思いを新たにした。被災された方々に寄り添った支援に引き続き取り組んでまいりたい。
さて、日本経済は、約30年ぶりの高水準の賃金引上げや100兆円を超える設備投資に支えられ、GDP600兆円突破に象徴されるように成長への着実な歩みを進めている。この機を逃さず官民の連携をこれまで以上に強化し、「成長と分配の好循環」の継続に取り組んでいく。
成長には、イノベーション創出や地方経済の活性化はもちろん、グリーントランスフォーメーション(GX)推進が欠かせない。そのためにGX推進の基盤となる安価なエネルギーの安定供給の確保が待ったなしの課題である。再生可能エネルギーを最大限活用しつつ、既存原発の再稼働に加えて高速炉、高温ガス炉、核融合等次世代革新炉の開発を含めた核エネルギーの利活用が急務である。同時にバックエンドの問題にも取り組む必要がある。
分配には、賃金引上げのモメンタムの維持・強化に向けて、2023年を「起点」の年、2024年を「加速」の年と位置付け、2025年はこの流れを「定着」させる年にしていきたい。賃金引上げを消費につなげるには国民が抱える将来不安の払拭が必要であり、そのためには、給付と負担の将来見通しを踏まえ、全世代型社会保障の構築を進め、ひいては税と社会保障の一体改革が求められる。
昨年から続く混とんとした時代を迎える中、わが国が進むべき道について中長期ビジョンが求められていると考え、今般「FUTURE DESIGN 2040」を策定した。わが国は、「人口減少・少子高齢化」と「資源を持たない島国」という二つの克服すべき大きな課題に直面している。こうした中、わが国は「科学技術立国」「貿易・投資立国」を目指す。そして、その基盤となるのが公正・公平で持続可能な社会と考える。この実現に向けて、先ほど申し上げた全世代型社会保障や環境エネルギーなど六つの施策を提案した。
4月にはいよいよ大阪・関西万博が開幕する。ぜひとも多くの皆さまに足を運んでいただきたい。
就任以来一貫して掲げてきた「社会性の視座」のもと、「成長と分配の好循環」の実現に向けて精力的に取り組んでいく。皆さまのご理解と一層のご支援をお願い申し上げる。
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