東洋建設は6月20日、同社と日立造船および㈱IHIインフラ建設で構成する共同企業体(JV)が、フィリピン共和国公共事業道路省が発注するパッシグ・マリキナ川河川改修事業(フェーズⅣ)の「パッケージ1」工区の内示書(Award)を受領したと発表した。東洋建設および東洋建設が幹事会社を務めるJVで施工中の「パッケージ2」工区および「パッケージ3」工区が計画通りに進捗しているなか、隣接する工区の受注内定となる。
今回のJV受注予定総額は約283億円で、日本政府開発援助(ODA)の有償資金協力(円借款)のうち、本邦技術活用条件(STEP)として実施される。
本事業のフェーズⅡ、フェーズⅢ(ともに東洋建設および東洋建設幹事JV施工)にて護岸整備および河道浚渫を行ったことにより、周辺地域の洪水被害は大幅に低減された。さらに、施工中のフェーズⅣの全ての工区が完成すれば、30年に1度の大洪水にも対応できるようになる。また、護岸の一部には親水性をもたせており、地域住民の憩いの場にもなっている。さらに周辺には公園や商業施設、超高層住宅等も次々と整備され、本事業は地域の発展に大きく貢献している。
今回受注が内定したフェーズⅣの「パッケージ1」工区は、護岸整備や河道浚渫に加えて、堰や水門を整備する計画となっており、周辺地区の洪水被害を一層低減させる。また、護岸構造の断面性能を高めるH型鋼を結合したハット型鋼矢板を採用するほか、水門には省合金二相ステンレス鋼を取り入れるなど日本の高い技術力が活用され、本工区も他工区と同様に下流部を含め地域経済の発展に大きく寄与することが期待されている。
東洋建設は、自然災害が多い国の一つであるフィリピン共和国に1973年に進出して以来、様々な事業に参画している。大規模な河川工事分野では、アグノ川流域緊急復旧工事(ルソン島中部)、オルモック市洪水対策工事(レイテ島)、ラオアグ川治水・防砂工事(ルソン島北部)、パッシグ・マリキナ河川改修工事フェーズⅡ、フェーズⅢ(マニラ首都圏)、カガヤンデオロ洪水対策工事(ミンダナオ島北部)等、数多くの施工実績を積上げてきた。半世紀を超えるフィリピンでの事業は、東洋建設にとってかけがえのない財産。これからも地域に根差した事業展開を進め、東洋建設の保有する技術の移転や人財育成などを行い、同国の社会・経済発展に寄与していく。
<受注内定内容>
工事名:パッシグ・マリキナ川河川改修事業(フェーズル)パッケージュ(円借款)
発注者:フィリピン共和国公共事業道路省(Department of Public Works and Highways)
施工者:東洋建設・日立造船・IHIインフラ建設共同企業体
施工場所:フィリピン共和国 マニラ首都圏パッシグ市、ケソン市、リサール州タイタイ町
工期:着工から 1,800日
工事内容:整備区間 1.3km 及び可動3ヵ所
主要工種数量:リリース参照