●年頭所感(2024年) 日立造船株式会社 社長兼 CEO 三野 禎男

1.2023 年の振り返りについて
(1)安全について
 当社グループは、経営姿勢の第一に「安全最優先」を掲げ、「全ての事業活動の場において、安全最優先を徹底します」と宣言しています。2023年度は「全社安全衛生委員会」を開設するなど安全管理体制の強化を行いました。各事業本部や各プロジェクトで開催される各種会議において、安全活動の状況、安全成績や再発防止対策の報告を行い、また、安全に関する啓蒙・情報発信や教育カリキュラムを増やすなど、役職員が安全活動に参加できる機会を増やし、安全最優先の徹底を図っています。
安全文化を醸成していくには、役職員一人ひとりが安全最優先を意識し、担当する業務へ反映していくことが肝要です。全ての人が安全に働ける職場、相互啓発型組織を共に構築していきましょう。

(2)サステナビリティの推進について
 当社は、 「環境負荷をゼロにする」と「人々の幸福を最大化する」というサステナブルビジョンの
達成に向け、様々な取り組みに着手しています。成功の柱(マテリアリティ)の 1 つの「カーボンニュートラル」に関して、当社における 2022 年度の温室効果ガス排出量は、 2013 年度比で約 40%
の減少となりました。継続して、化石エネルギー投入量削減や省エネ活動を推進してください。

(3)DX の推進について
 当社は DX 推進の指標として 2 つの KPI を設定しています。1つ目の「製品 IoT 化率 60%」では、2025 年度末までに DX 要素があると考えられる 48 製品のうち 30 製品に対して IoT セキュアプラットフォーム 「EVOLIoT」もしくは 個別開発による IoT 化を行うことを目標としています。
 2023 年末時点では 19 製品=約 40%となっています。

 2つ目の「DX 人材育成数 500 名」については、当初計画を上回る 158 名が DX リーダー研修を修了しました。第2期研修では、現実味のある 32 の事業 DX アイデアが創出され、アイデアの具現化に向けた検証を進めています。
 また、昨年 10 月にDX人材グランドデザインを制定し、全役職員のデジタルリテラシーを向上させ、当社グループの DX 推進を加速していくため、来年度から対象を全役職員にひろげて、DXレベルに応じた教育を実施する予定です。

2.中期経営計画「Forward 25」の基本方針に関する取り組み成果や今後の計画について
(1)既存事業の持続的成長について
 昨年 6 月にグローバル人材育成プログラムを策定し、10 月から本格的に研修をスタートしました。併せて、海外グループ会社の経営を担えるグローバル経営人材の拡充にも着手しています。また、各現地法人や海外支店におけるミッションと具体的なアクションプランの見直しを行い、着実にフォローする仕組みを強化していきます。

(2)成長事業の創出・拡大について
 海外環境事業では、Hitachi Zosen Inova(HZI)において、プラント設計から資金調達、建設、
所有、運営を一貫して実施する「DFBOO 方式」によるバイオメタン供給事業への取組みを強化し
ています。
 国内環境事業では、資源循環事業の新たな展開として、5 月に産業廃棄物処理や資源リサイクルを手がける TRE ホールディングス株式会社と業務提携契約を締結し、産業廃棄物を含む事業創出への取り組みを開始しました。公民連携を推進し、サーキュラエコノミーの実現に貢献していきます。
 脱炭素化事業では、4 月に営業を開始した日立造船マリンエンジン株式会社で、新燃料への対応
 に取り組んでいます。合弁パートナーの今治造船株式会社と協力し、舶用エンジンの燃料転換にチャレンジしていきます。また、HZI と水電解水素やメタネーションなど、脱炭素化関連のグローバル案件での連携を検討しています。当社グループの NAC International では、6 月に使用済核燃料の貯蔵容器の製造、販売を手がけるカナダの NIAGARA ENERGY PRODUCT の資産買収を行い、北米における効率的な製品供給体制の構築や事業領域の拡大に取り組んでいます。

(3)持続可能な経営の推進について
 人的資本の強化では、「経営戦略・事業戦略の実現に必要な人材の採用・確保、配置・育成、定着」
を掲げています。2025 年度の KPI のうち、女性事務系新卒採用率 50%と男性の育児休暇・休業
取得率 100%は達成見込みですが、女性技術系職員採用率、職員エンゲージメント指数、生活習慣
病有所見率などは課題が残されています。
 採用・確保では、 「カナデビア」 への社名変更に関する広報活動を通して、当社グループの知名度向上、ブランド構築に取り組んでいきますので、リクルーター活動やインターンシップで学生に当社の魅力を伝えるなど、採用活動への協力をよろしくお願いします。
 配置・育成では、「経営人材」や「グローバル人材」を計画的に育成するための研修プログラムを
10 月から開始しています。
 定着では、昨年実施した職員エンゲージメント調査で明らかとなった課題の改善に向けた取り組みを推進していきます。多様な人材が心身ともに健康で、能力を最大限発揮できる環境の実現に向けて、人事制度や福利厚生の充実を図り、個人の成長と組織の成長の好循環による企業価値向上に取組んでいきます。

3.新社名「カナデビア株式会社」のシンボルマーク(ロゴ)の決定について
 当社は、本年10月1日、商号を「カナデビア株式会社」とします。昨年 9 月 27 日に発表して以降、各事業所を訪問し、新社名に関する説明や各層職員との対話の実施や「コーポレートブランドの再構築と企業価値向上に向けて」と題したメッセージカードを配布するなど、理解を深めるための取り組みを進めています。
 「Kanadevia 元年」にあたり、シンボルマーク(ロゴ)が決定したことをご報告します。
【シンボルマーク(ロゴ)】

【ブランドステートメントとの併記パターン】

 ブランド基盤の主要要素であるシンボルマーク(ロゴ)は、昨年 12 月の取締役会において決議しました。当社のブランドコンセプト「技術の力で人類と自然の調和に挑む」をビジュアルに表現したもので、デザインのコンセプトは以下の3点です。
(1) 「a」「d」「e」をゆがみのない正円で構成することで、ブランドが培ってきた「高い技術力」を表しました。また、正円によってデザインされた「a」「d」「e」が、シンボルマークにリズムを生み出し、力強さと優しさの双方を印象づけるデザインとなっています。

(2) シンボルマーク全体に緑から青へのグラデーションを使用することで「人類と自然の調和」を美しく表現しました。緑は「人類を含む自然」、青は「地球」と「テクノロジー」を表しています。

(3) ブランドコミュニケーションの展開において、テーマや使用される画像と調和したグラデーションを用いて、「多様性」のある表現を作り出すことができます。
 
 このシンボルマークの決定をもって、「Forward 25」で示したブランディング戦略の基本的要素が出揃いました。役職員一丸となってカナデビアとしての力強い一歩を踏み出し、新たな歴史を切り拓いていきましょう。

最後に、2023 年度の残り3か月、挑戦の精神を忘れず「Act Now for the Future」のスローガンのものと、明るく、元気に頑張っていきましょう。

※ 2024 年 1 月 4 日、全職員向け年頭挨拶の要旨。

 日立造船HP