・MHIAE、ヒートポンプ製品群による低炭素ソリューション提供に高い評価
・米国に本拠を置くフロスト・アンド・サリバン社が、世界のサービス・技術などを対象に毎年選定
・欧州地域の燃焼方式ボイラー代替ニーズなどに応じたヒートポンプ製品群の提供により、課題解決に貢献
三菱重工グループの英国現地法人であるMitsubishi Heavy Industries Air-Conditioning Europe, Ltd.(MHIAE)は、7月5日、欧州における業務用ヒートポンプに関する取り組みで「カンパニー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したと発表した。同賞は、米国を本拠とする国際的な成長戦略コンサルティングリサーチ会社であるFrost & Sullivan(フロスト・アンド・サリバン)社が、世界のサービスや技術などを対象に毎年選定しているもので、MHIAEが同賞に選定されるのは今回が初となる。
同賞は、「先見性のあるイノベーション」「市場をリードするパフォーマンス」「顧客ニーズアンマッチの解決」といった各項目で模範となる企業に対して贈られるもので、フロスト・アンド・サリバン社は、これらの各項目に対し、「顧客の潜在ニーズに応えているか」「市場においてリーダーシップを発揮し、地位を確立できているか」「市場における類似品と比較し、製品またはサービスが価格に対して最高の価値を提供できているか」といった独自の基準で評価を行っている。
MHIAEは今回、三菱重工サーマルシステムズ製の業務用給湯機「Q-ton(キュートン)」を軸としたヒートポンプ製品群による低炭素ソリューション提供を通じ、給湯・暖房に伴う欧州市場のCO2排出量低減に貢献した点や、地域特有の要求に基づくソリューション提案を通じてヒートポンプの普及にリーダーシップを持って貢献した点などで高い評価を受けた。
脱炭素社会の実現に向けた取り組みが先行している欧州では、環境に配慮した省エネ製品などの需要が拡大すると同時に、地球温暖化防止の観点から、空調の冷媒に使用されるフロンガス規制への対応が求められている。Q-tonは、自然冷媒であるCO2を利用していることから、今後強化されるフロンガス規制に対応している。加えて、CO2排出量が極めて多い化石燃料の燃焼方式ボイラーによる給湯・暖房から電化によるヒートポンプ給湯・暖房へと置き換えることで、カーボンニュートラル実現に大きく貢献できる。
Q-tonは、業界トップの中間期COP4.3(注)を達成するとともに、外気温度がマイナス25℃の場合でも90℃の温水供給が可能な定格能力30kWのヒートポンプ給湯機。高圧力比での効率が優れるスクロール圧縮機構と、低圧力比での効率が優れるロータリー圧縮機構を組み合わせた世界初の「スクロータリー」圧縮機の採用により、すべての運転条件で高効率化を達成している。また、中間圧へのガスインジェクション機構の導入により冷媒循環量を増やし、低外気温度においても必要な能力を確保している。
三菱重工グループは、今回の受賞を弾みに、地域が抱える固有の課題や顧客ニーズに応える技術・製品開発に引き続き尽力するとともに、冷熱事業領域の広さを生かしたシナジーによる統合技術力で最適なサーマルソリューションを提供し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。
*中間期(春・秋)の温度条件(外気温度16℃、入水温度17℃、出湯温度65℃)におけるエネルギー消費効率(COP:Coefficient of Performance)を表す成績係数で、値が高いほど効率性に優れる。