日立建機、22年4〜12月期売上は25.3%増の9,027億円、通期は20%増の1兆2,300億円に上方修正

 日立建機が1月27日に発表した2023年3月期第3四半期(2022年4~12月)連結業績によると、売上収益は、コンストラクション・マイニングの新車販売に加え、 重点的に取り組んできたバリューチェーン事業も前年同期比で大きく増加した上、為替の円安影 響等も加わって、9,027億4千8百万円(対前年同期増減率25.3%)となった。

 利益項目について、調整後営業利益は、前第2四半期に計上した一過性の米州向け販売価格決定による調整額がなくなり、第3四半期連結累計期間を通じて鋼材価格を中心としたコスト増 加等があったが、売上収益の増加や為替影響等によって、872億8百万円(同42.3%)と大幅な増益となった。一方、親会社株主に帰属する四半期利益は、営業外為替差損や持分法で会計処理されている投資の減損損失等が影響し、430億5千5百万円(同△7.3%)となった。

 日立建機2023年3月期第3四半期データ

 日立建機グループは、2023年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画「Realizing Tomorrow’s Opportunities 2022 明日の好機をつかみとれ」において、①バリューチェーン事 業の強化、②お客さまとのあらゆる接点で深化したソリューションを提供、③変化に強い企業体 質の形成、そして、新たに④「北中南米全域で戦略を実現」を加えた4つの経営戦略で、現在、 持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでいる。

 第3四半期連結累計期間における油圧ショベル需要は、特に中国やロシアCISが前年同期比で大幅に減少し、当社の予想通り全体では減少傾向が続いた。

 一方、マイニング需要は、高水準の資源価格を背景とした顧客の高い投資意欲や高稼働に伴う オーバーホール需要および定期メンテナンス需要等が継続していることから、依然として市場全 体で堅調に推移した。

■セグメントの業績
①建設機械ビジネス
 第3四半期連結累計期間の売上収益は、8,116億4千4百万円(同23.8%)、調整後営業利益は、795億6千7百万円(同40.9%)となった。第1四半期において発生した調達・物流の遅れによる事業影響は、第2四半期以降大きく改善しており、今年度から本格的に独自展開を開始した米州事業も見通し以上に順調に立ち上がった。さらに他の地域でも旺盛な受注に支られ、コンストラクション・マイニングの新車販売だけでなく部品サービスを中心としたバリューチェーン事業も好調に推移し、前年同期比で大きく伸長した。

②ソリューションビジネス
 同事業は、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken Pty Limited及びその子会社と、サービスソリューションを提供するH-E Parts International LLC及びその子会社で構成されている。
 第3四半期連結累計期間の売上収益は、マイニングの堅調な市場環境に支えられた上、為替影響等が加わった結果、956億2千5百万円(同42.2%)となった。調整後営業利益 は、鋼材価格を中心としたコスト増加の影響を受けたものの、売上収益の増加と為替影響等に より76億4千1百万円(同58.0%)となった。
なお、上記、①②の売上収益については、セグメント間調整前の数値。

■今後の見通し
 2022年度の油圧ショベル需要については、新興国における需要が想定以上に 増加していることから、全体では前年度比で減少するものの、23万6千台(前年同期比6%減)と、若干見通しを上方修正した。マイニング製品の需要についても、低調なロシア以外の主要地域で堅調に推移し、さらに、アジアや欧州等で需要が増加していること等から年度見通しを上方修正し、前年同期比0%~10%減を見込む。

 2023年3月期連結業績予想(2022年度)については下記のとおり。

 2022年度の売上収益は、1兆2,300億円(前期比20.0%増)、調整後営業利益1,200億円(同28.3%増)、親会社株主に帰属する当期利益620億円(同18.2%減)。

 第3四半期累計実績が10月時点の計画値を上回ったことを踏まえ、売上収益・調整後営業利益・営業利益について上方修正した。一方、税引前当期利益・親会社株主に帰属する当期利益については、第3四半期連結会計期間において、営業外為替差損や持分法で会計処理されている投資の減損損失を計上したこと等から、下方修正した。

 第4四半期の前提為替レートについては、10月時点の公表値(米ドル130円、ユーロ140円、人 民元19.5円、豪ドル90円)を据え置いている。

 日立建機の2023年3月期第3四半期決算短信

 第3四半期決算説明資料